十七．澤雷随 ☱ ☳ 随うべき相手を見極めて随う時
□隨(ずい)は元(おお)いに亨(とお)る。貞(ただ)しきに利(よろ)し。咎(とが)无(な)し。
隨(ずい)は、その時、随(したが)うべき相手に随(したが)う道（誰にどのように随うべきか）を説いている。
◎象に曰く、澤(さわ)の中に雷(かみなり)有るは隨なり。君子以(もつ)て晦(くら)きに嚮(むか)えば入(はい)りて宴(えん)息(そく)す。
☆秋の雷が澤の中に潜んでいる。今日やるべき事は今日やって夜は休んで明日に備える。
○初九。官(かん)渝(かわ)る有り。貞にして吉。門を出(い)でて交(まじ)われば功有り。
☆直属の上司（六二）に随い、周りの人と調和する心を大切にして事を進めれば出世する。
○六二。小(しよう)子(し)に係(かか)れば、丈(じよう)夫(ぶ)を失う。
☆意志が決まらず、あれこれ迷う。小さな利益に囚(とら)われて六三に随えば大きな利益を失う。
○六三。丈(じよう)夫(ぶ)に係(かか)れば、小(しよう)子(し)を失う。隨いて求むる有れば得(う)。貞に居(お)るに利(よろ)し。
☆誠心な気持ちで自分よりも地位の高い人（九四）に随うべきだが、部下には慕われない。
○九四。隨いて獲(う)る有り。貞なるも凶。孚(まこと)有り道に在(あ)り、以(もつ)て明らかなれば何の咎あらん。
☆九五（上司）に随って役割を全うすべき時。九五を凌ごうとすれば危険な立場に陥る。
○九五。嘉(か)に孚(まこと)あり。吉。
☆上下陰陽意見が一致して自分が喜ぶことを相手も喜び、相手が喜ぶことを自分も喜ぶ。
○上六。之(これ)を拘(こう)係(けい)し、乃(すなわ)ち從(したが)って之(これ)を維(つな)ぐ。王(おう)用(もつ)て西(せい)山(ざん)に亨(きよう)す。
☆九五に心から慕われる。貴方の至誠の心が神仏に伝わって神仏の加護をも受けられる。
十八．山風蠱 ☶ ☴ 腐敗した組織や社会を刷新する時
□蠱(こ)は元(おおい)に亨(とお)る。大(たい)川(せん)を渉(わた)るに利(よろ)し。甲に先だつこと三日、甲に後(おく)るること三日。
惑(わく)乱(らん)・腐敗・頽(たい)廃(はい)・崩壊が窮(きわ)まり内容を一新すれば事態は一変して通じるようになる。
◎象に曰く、山の下に風有るは蠱なり。君子以(もつ)て民を振(ふる)い德を育(やしな)う。
☆乱れた状態を治め長年積み上がった弊害を刷新する。君子が民衆を慈愛で奮い立たせる。
○初六。父の蠱(こ)に幹(かん)たり。子(こ)有り、考(ちち)咎(とが)无(な)し。厲(あや)うけれども終(つい)に吉(きつ)。
☆先代の事業を引き継いで、その弊害を刷新して事業を軌道に乗せようとする始めの段階。
○九二。母の蠱(こ)に幹(かん)たり。貞(てい)にす可(べ)からず。
☆恩義を受けている上位者が愚かだとしても、尊敬する気持ちを持って接することが大切。
○九三。父の蠱(こ)に幹(かん)たり。小(すこ)しく悔(くい)有り。大(だい)なる咎无し。
☆剛に過ぎる才能で組織の腐敗を刷新しようとする。過激すぎて上手くいかずに後悔する。
○六四。父の蠱(こ)に裕(ゆるや)かなり。往(ゆ)きて咎(とが)を見る。
☆控えめな貴方が組織の腐敗を刷新しようと発心するが呑気に構えて志を遂げられない。
○六五。父の蠱(こ)に幹(かん)たり。用(もつ)て譽(ほまれ)あり。
☆できる部下と共同して旧来の弊害を刷新して組織が再生する。長年の苦労が解決する。
○上九。王(おう)侯(こう)に事(つか)えず。其(そ)の事を高(こう)尚(しよう)にす。
☆事業を成し遂げたので第一線から退く。人徳を修養しながら超然と人生を楽しむがよい。
