五十二.艮為山 ☶ ☶ 外界の刺激に妄想を抱かない時
□其(その)背(せ)に艮(とど)まり、其(その)身(み)を獲(え)ず。其(その)庭(にわ)に行き、其(その)人(ひと)を見ず。咎(とが)无(な)し。
外界の如何なる現象に惑わされない。無我の境地に達すれば、咎という概念すらなくなる。
◎象に曰く、兼(けん)山(ざん)は艮なり。君子以て思ふこと其(その)位(くらい)を出(い)でず。
☆謙虚な気持ちで自分の持ち場を大切にする。やるべきことをやって己の分限を超えない。
○初六。其(その)趾(あし)に艮(とど)まる。尤(とが)无(な)し。永貞に利し。
☆止まる時の始めに居るので妄りに動いてはならない。私利私欲に惑わされてはならない。
○六二。其(その)腓(こむら)に艮まる。其(その)隨(ずい)を拯(すく)はず。其(その)心(こころ)、快(こころよ)からず。
☆上の人との関係がギクシャクして我慢を強いられるが、今の状況を受け容れるしかない。
○九三。其(その)限(げん)に艮まる。其(その)夤(いん)を列(さ)く。厲(あやう)くして心を薫(くん)す。
☆止まることに固執して上下の人間関係を悪化させる。立場が危なくなり不安を感じる。
○六四。其(その)身(み)に艮(とど)まる。咎无し。
☆力不足で部下から信頼されていない。己の身を修めて時運が至るのを待つべきである。
○六五。其(その)輔(ほ)に艮(とど)まる。言(げん)序(じよ)有り。悔亡ぶ。
☆熟慮して軽々しく言葉を発しない。道理に適った話をすれば周りの人々に信服される。
○上九。艮(とど)まるに敦(あつ)し。吉。
☆無我の境地で煩悩妄想を抱かないので何事にも動じない。人々から信頼され吉運を招く。
易経は本当に面白い。しかし、「易経は難しい」という印象で読まない人が多い。
そこで、毎日持ち歩いていつでも読める易経入門書を書くことにした。易経の原型は今から四~五千年前に古代支那の伏羲(ふつき)が考案したと伝わる「八卦(はつか)」と「六(ろく)十(じゆう)四(し)卦(か)」である。陰陽の概念を根幹に生み出された八卦が重なって出来た六十四卦の物語(宇宙空間におけるありとあらゆる現象を説明する時の物語)が易経の本質であり魅力である。
本書は「これ以上簡単にできない易経入門」の現代語訳を大幅に見直し、誰もが易経(易占い)を好きになるように工夫して書いた。一人でも多くの人に読んでほしい。
日本の教え研究家 白倉信司
