悦び悦び合う時の初期段階を経ると、二三四爻の互体離☲となる。離☲には「明るい、明瞭、光り、輝く、照らす」などのプラスの性質があるので、この性質を活かして、明るく明瞭で光り輝きお互いを照らし合うような人間関係を醸成する。離☲には「明智・明德・中虚」など「己を虚しくして人を思いやる」性質もある。私利私欲から離れて、人を思いやる人々が増えていけば、悦び悦び合う時はさらに進化していく。この段階を経れば三四五爻の互体巽☴となる。巽には「教化、命令、伝達」の性質があるので、組織全体に私利私欲から離れて、人を思いやることの大切さを教化して、必要に応じてトップダウンで命令を伝達し、組織風土を高める段階に持っていく。仕上げは上卦兌☱の「悦ぶ、和する、潤う、恵む、笑う、楽しむ、応える、魅力」のようなプラスの性質を常時発揮できる組織に育て上げることである。
以上が兌為澤の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
兌、亨。利貞。
○兌(だ)は亨る。貞しきに利し。
兌には悦(よろこ)ぶ性質がある。だが、悦べば箍(たが)が緩(ゆる)み羽目を外し、やがて乱れる。兌の時は上も下も、我も人も悦ぶ時である。それゆえすらっと通る。しかし、悦べば箍(たが)が緩(ゆる)み羽目を外してやがて乱れることになる。それゆえ、悦びの中に邪(じや)心(しん)や媚(こ)び諂(へつら)う気持ちがあってはならない。常に正しい道(純粋に悦び、悦ばせること)を固く貫くことが肝要である。以下省略。