わたしたちは、この世に生まれてから死ぬまで、様々な経験をする。その経験のほとんどが自分の思い通りにならない。両親を選べない。兄弟を選べない。親戚を選べない。近所に住んでいる人々を選べない。何もかもが自分の思い通りにはならないことばかりである。自分の思い通りになることなど、長い人生の中で数えるほどしかない。
以上のように考えると、雷澤帰妹から学ぶことは多い。自分の思い通りにならない時に如何に対処すればよいかが雷澤帰妹には書いてある。卦辞・彖辞に「帰妹は往(ゆ)けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。/雷澤帰妹の時は、自分の思い通りに何かをやろうとしても、何一つ自分の思い通りにはならない。自分が満足することなど何一つない。」とある。まぁ人生大体こんなものであろう。
人生のステージごとに雷澤帰妹を当て嵌めてみると、次のようになる。
○出生から幼児期
国家を選べない。家の経済状態を選べない。両親を選べない。男性女性の別を選べない。兄弟を選べない。親戚の人を選べない。近所に住んでいる人(友だち)を選べない。保育園を選べない。保育園の先生を選べない。保育園の友だちを選べない。幼稚園を選べない。幼稚園の先生を選べない。幼稚園の友だちを選べない。
○青年期
小学校を選べない。選んでも試験で落ちることもある。小学校の先生を選べない。小学校の友だちを選べない。選んでも嫌われることもある。以下、中学も高校も大学も同様である。
○社会人前期
勤務先を選べない。勤務部署を選べない。上司を選べない。先輩を選べない。同僚を選べない。彼女や彼氏を選べない。選んでもふられることもある。仕事内容を選べない。居住場所を選べない。選んでも満足できない。通勤手段を選べない。勤務時間を選べない。自分の都合で会社を休めない。取引先やお客様を選べない。結婚相手を選べない。選んでもふられることもある。その他諸々のことが自分の思い通りにはならない。
○社会人後期
マイホームを選べない。選んでも満足できない。生まれてくる子供を選べない。生まれてくる子供の性格や能力を選べない。思い通りに子供を教育できない。思い通りの経済状態が実現しない。思い通りの社会的地位を得られない。思い通りの健康状態を保てない。思い通りの退職金を得られない。思い通りの定年後の生活が送れない。その他諸々のことが自分の思い通りにならない。
以上、人生はほとんど自分の思い通りにはならない。雷澤帰妹はそんな時には妥協して自分ができる範囲で、できることをやりなさいと、当たり前のことを説いている。以下省略。