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易経 繋辞下伝を読み解く 第八章

第八章

易之爲書也不可遠。爲道也しばしば遷。變動不居。周流六虚。上下无常。剛柔相易。不可爲典要。唯變所適。
○易の書たるや遠ざく可からず。道たるや屡(しば)々(しば)遷(うつ)り、変動して居らず。六(りく)虚(きよ)に周(しゆう)流(りゆう)し、上下、常無く、剛柔相い易(か)わり、典(てん)要(よう)と為す可からず。唯だ変の適(ゆ)く所のままなり。
 易の書は常に身近に置いて読み解くものであり、古典として本棚に飾っておくものではない。
人の道、すなわち運命というものは、決して固定したものではなく、屡(しば)々(しば)変動して定まらない。それを易の書では、六十四の物語(大きな例え話)と、物語の中の六段階の変化(小さな例え話)として示している。六十四の物語は次から次へ、上下前後左右、自由自在に循環して、諸行無常である。剛(つよ)いものは、柔(よわ)いものに変じ、また柔(よわ)いものは剛(つよ)いものに変じていく。常態が一定に止まることなく、常に変動して息(やす)むことがない。この世の中(自然・社会)や宇宙空間において、変わらざる事象は何一つないのである。

其出入以度。外内使知懼。又明於憂患與故。无有師保。如臨父母。
○其の出(しゆつ)入(にゆう)、度(ど)を以てし、外(がい)内(ない)、懼(おそ)れを知らしむ。又、憂患と故(こと)とに明らかなり。師(し)保(ほ)有る无(な)けれども、臨める父母の如し。
 易の物語には、社会に出て活動する場合も、家に入って身を固める場合も、それぞれの時に中るべきことの大切さや、外(社会・外面)においても内(家庭・内面)においても、常に自戒することの大切さが示されている。
 また易の物語には、将来にたいする漠然とした不安や現在直面している具体的な心配事について、さまざまなシナリオが描かれており、その不安や心配事が生ずる理由や要因が明らかに示されている。
 常に易の書を身近に置いて熟読すれば、人生の師匠や護衛役が不在であっても、父母に導かれて守られているように、心泰然と自得することができる。

初率其辭。而揆其方。既有典常。苟非其人。道不虚行。
○初め其の辞に率(したが)いて、其の方を揆(はか)れば、既に典(てん)常(じよう)有り。苟(いやしく)も其の人に非(あら)ざれば、道、虚しく行なわれず。
 初めて易経を學ぶ人は、易経の本文に書いてあることを、読み解いてゆけば、そこに一定の法則(変易・不易)があることに気付くはずである。しかし、それを人生や生活或いは事業に取り入れて、活かしていくことは容易なことではない。誰もが易経に書いてあることを活かしていけるわけではない。易経を深く學んで、自分の血肉とし、素行自得できる者にして初めて、易経を活かすことができるのである。易経に書いてあることを活かすことができなければ、易経は虚構の夢物語に過ぎない。

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