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易経 繋辞上伝を読み解く 第一章 二

鼓之以雷霆。潤之以風雨。日月運行。一寒一暑。乾道成男。坤道成女。
○之を鼓(こ)するに雷(らい)霆(てい)を以てし、これを潤(うるお)すに風雨を以てし、日月運行して、一(ひと)たびは寒く、一(ひと)たびは暑し。乾道は男を成し、坤道は女を成す。
 剛柔(陽陰)が交わって雷(かみなり)(震)■■□や霆(いかづち)(離)□■□が奮い立ち、風(巽)□□■や雨(坎)■□■が潤って萬物を生成発展させる。
 昼は太陽(離)□■□が地上を赤々と照らし、夜は月(坎)■□■が地上を仄(ほの)かに照らしてくれる。昼夜の別や春夏秋冬(四(しい)時(じ))の別によって、ある時(夜・秋・冬)は寒くなり、ある時(昼・春・夏)は暑くなる。
 乾(陽・剛健・天)の道を性別に当て嵌めると男性の男性たる所以である。これを八卦に当て嵌めると父親である乾□□□の卦から長男である震■■□、中男である坎■□■、少男である艮□■■の三つの陽卦が生み出される。坤(陰・柔順・地)の道を性別に当て嵌めると女性の女性たる所以である。これを八卦に当て嵌めると母親である坤■■■の卦から長女である巽□□■、中女である離□■□、少女である兌■□□の三つの陰卦が生み出される。

乾知大始。坤作成物。乾以易知。坤以簡能。
乾は大始を知(つかさ)どり、坤は成物を作(な)す。乾は易(い)をもって知(つかさ)どり、坤は簡をもって能(よ)くす。
○乾(陽)が無限で無形の根源的なエネルギー(元氣)を、坤(陰)に向かって発することによって萬物の大いなる創造活動が始まり、坤(陰)が乾(陽)から発生された無限で無形の根源的なエネルギー(元氣)を、何の疑(うたが)いもなく受容することによって、無形のエネルギー(元氣)から有形の萬物が生み出される。
 乾(陽)の働きや作用は平易であるから、萬物を司ることができる。坤(陰)の働きや作用は簡略であるから、萬物を品物(各々が固有の性質や使命を持った生命体)として生み出すことができる。

易則易知。簡則易從。易知則有親。易從則有功。有親則可久。有功則可大。可久則賢人之徳。可大則賢人之業。
易なれば知り易く、簡なれば従い易し。知り易ければ親しみあり、従い易ければ功あり。親しみあれば久しかるべく、功あれば大なるべし。久しかるべきは賢人の徳、大なるべきは賢人の業(ぎよう)なり。
○乾(陽)の作用は平易だから、萬物に容易に浸透して行き、坤(陰)の作用は簡略だから、品物は容易に固有の性質や使命に従って活動することができる。乾(陽)の作用は萬物に容易に浸透して行くから、生きとし生けるもの誰からも親しまれ、坤(陰)の作用は容易に品物固有の性質や使命として発揮されるから、生きとし生けるもの誰もが功績を上げることができる。生きとし生けるもの誰からも親しまれるから、乾(天)の道は久しく無限に生成発展するし、生きとし生けるもの誰もが功績を上げることができるから、坤(地)の道は広大に発展していくのである。久しく無限に生成発展するのは、賢人の道徳が無限に発揮されることにつながり、誰もが功績を上げることができるのは、賢人の事業が幾久しく継続していくことにつながる。

易簡而天下之理得矣。天下之理得。而成位乎其中矣。
易(い)簡(かん)にして天下の理得たり。天下の理得て位(くらい)をその中(ちゆう)に成(な)す。
○乾(陽)の作用は平易で、坤(陰)の作用は簡略だから、天下国家の原理原則を習得することができるのである。天下国家の原理原則を習得することができるから、天地の道に従って、人間社会を治めるべく、正しい位を得ることができる。天地の道に従って、正しい位を得ることができるからこそ、その時々に応じて人間社会を適切に治めることができるのである。

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