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時の物語 周易六十四卦 校正 28

四十五.ツートップで栄える時

 組織のトップと側近両方に力があって組織を引っ張っていくのが「ツートップで栄える時」である。家庭なら子供たちがお父さんもお母さんも大好きで、お父さんが「お風呂に入るよ~」と呼びかければ、子供たちは「は~い」とお風呂に入るし、お母さんが「お掃除するよ~」と呼びかければ、子供たちは「は~い」と掃除を始める。会社なら力のある社長と専務が会社を引っ張っている。トップと側近が組織を引っ張るから普通の組織の二倍の成果が出るが、側近が前に出過ぎてはならないのが「ツートップで栄える時」である。

 「ツートップで栄える時」の主人公は「四三.暗君を葬り去る時」の最後の最後に登場した「天命党」の党員である「あなた(わたし)」である。

 元自衛隊幹部候補生が「世のため人のために生きる」という志のある若者を集め「人間の生き方や考え方」を教え、国家や先祖に支えられて生かされていることを自覚させるために「天命塾」を立ち上げた。創設者の「政治を変えなければ日本は良くならない」という強い思いを受け止めた「天命塾」の卒塾生が五年前から次々と国政に進出して一定の勢力となり、国政政党「天命党」を立ち上げ「日本を良くする」ために活発な政治活動を開始した。
 政界は混迷を極めて、制度疲労を起こして瓦解を始めた与党から十数名が「日本天命党」に合流し議員数は三十名を超え、保守本流の政治勢力として一定の影響力を国政に与えるようになった。代表は「天命塾」十期生の福沢勇吉、副代表兼事務局長は十五期生の山田太郎である。福沢は「学問のすすめ」で知られる福沢諭吉の子孫、山田は両親が自衛官の家庭に生まれ育った元自衛官幹部候補である。福沢は理論派、山田は実践派として知られている。
 「天命党」は保守本流の政党として一定の勢力を得たが、国会には国防意識の全くないお花畑の議員が多く、「天命党」が基本理念として掲げている「自分の国は自分で守る」体制を今すぐ実現することは難しい。今年は衆議院選挙が行われるので、組織体制を強化し議員数倍増を目指している。議員数が六十名を超えれば野党第二党となる。与党の保守派と連携すれば「自分の国は自分で守る」体制を推進していくことが可能になる。「天命党」は代表と副代表のツートップで勢力を拡大している。衆院選で議員数が倍増しても、日本の政治を動かすためには力が足りない、再来年予定されている参院選で百名以上の議席を確保し政治の中枢に食い込み、日本を動かす力を得たいと考えている。「政治は政策にあり」を持論としている福沢代表は基本綱領と政策の整備を優先して行うべきと考えている。一方、「政治は実践にあり」を持論としている山田副代表は支部の組織体制強化と支部活動の充実を優先して行うべきと考えている。以下省略。

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