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時の物語 周易六十四卦 校正 16

三十三.逃げるが勝ちの時

 あらゆる人や組織は盛運と衰運の循環の中にある。盛運は小さな盛運と大きな盛運があり、衰運も小さな衰運と大きな衰運がある。「逃げるが勝ちの時」は大きな衰運である。衰運にある時はがんばっても成果が出ない。大きな衰運はなおさらである。今がどんな時にあるのかを見極めることが大事だ。時には六十四類型あり、それぞれ内容が異なる。それぞれの時に合わせて対応しなければ物事はうまくいかない。「逃げるが勝ちの時」は絶対に真正面から立ち向かってはならない時である。

 「逃げるが勝ちの時」の主人公は、「三十.歴史に学ぶ時」に登場した亡国の危機にある日本を取り戻すために政治活動をしている「あなた(わたし)」である。

 わたしは自国の歴史を否定して、ボウフラのように漂っている今の政治を看過できない。だから、仕事や政治活動を通じて、日本の危機的な状況について色々な人々に話をしてきた。けれども、わたしの思いはなかなか伝わらない。多くの人が話は理解してくれるが、その先につながらない。今の政治が危機的な状況にあることは分かってくれるが、行動を起こそうとしない。政治を変えるためには選挙に行き、支持する政党や政治家を応援し、自分が立候補して政治的に動くことが必要だが、半数以上の人が選挙にすら行かない。政治を諦めてしまっている。これでは何時まで経っても政治は良くならない。わたしは日本が大好きで、日本の歴史や文化を学べば学ぶほど、こんなに素晴らしい国は世界中で日本しかないと思っている。だから、日本の歴史や文化を学んで機会あるごとに色々な人々に話している。話をすればみんな共感してくれる。けれども誰も行動しようとはしない。そんなことをしても時間の無駄だと思っている。わたしは二十年近く活動してきた。活動を続けていけばやがてみんな気付くだろうと思っていた。けれども誰も気が付かない。気が付いても行動しない。行動しないから何も変わらない。こんなことを繰り返してきた。
 具体的な政治活動も行った。一度目は散々な結果だったが、二度目の活動は国政政党誕生につながった。これは快挙だ。奇跡と言ってもよい。わたしと同じ危機感を持つ人が集まり国政選挙に打って出た。地元の選挙区では惨敗だったが、比例区で当選者を出した。背後に闇がある中央のマスメディアは取り上げなかったが、地方のマスメディアは取り上げたので、それなりに注目された。しかし、大きな流れにはならなかった。一部の人たちは目覚めたが、ほとんどの人は目覚めなかった。わたしたちの訴えが理解できないはずはない。端(はな)から理解するつもりがないのか、理解したくないのか、理解したところで政治は変わらないと諦めているのか、理由は分からないが、とくかく、ほとんどの人の意識は変わらないのだ。それどころか、目覚めた人たちの間で次々に内輪もめが起こり組織が分断された。一緒に活動した人々が次々に組織から離れていった。どうしてこんなことになるのか。やるせない気持ちで一杯になった。もうやってられないと思った。けれども、ここでやめたら日本の危機的な状況は益々悪化していく。それが分かっているからやめるわけにはいかない。しかし、一生懸命やったところで何も変わらない。だから、やる気にならない。日本人の意識が大きく変わらない限り何をやっても無駄である。いやいや、そんなことはない真心で中れば人々の心を動かすことはできるはずだ。だから、がんばろう!と思っても、気合いが入らない。
 あらゆる人や組織は盛運と衰運の循環の中にある。衰運にある時はがんばっても成果が出ない。今がどんな時かを見極めることが大事である。今は絶対に真正面から立ち向かってはならない時かもしれない。以下省略。

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