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時の物語 周易六十四卦 校正 15

三十一.若い男女が出逢う時

 易経の六十四卦(六十四通りの物語)は上(じよう)経(けい)(三十通りの大きな物語)と下(か)経(けい)(三十四通りの小さな物語)に分かれている。上経最初の物語は「がんばる時」であった。何事も最初は「がんばる」ことから始まる。「がんばる」ことは、人と人との出逢いにつながる。下経最初の物語は「若い男女が出逢う時」である。若い男女の出逢いから様々な物語が始まる。貴方が男性なら女性に、女性なら男性に惹かれるものだ。人生には色々な出逢いがあるが、若い男女の出逢いから様々な物語が紡ぎ出される。その物語が人間社会を形成する。

 「若い男女が出逢う時」の主人公は結婚相手を探している男の「あなた(わたし・太郎)」と女の「あなた(わたし・花子)」である。

 わたし(太郎)は今年三十になる独身男性である。そろそろ結婚したいと思っているが、なかなか相手が見つからない。このままでは一生結婚できないかもしれないので、婚活パーティーに参加することにした。
 わたし(花子)は今年二十五になる独身女性です。一昔前なら結婚適齢期を終えようとしています。けれども、周りには結婚したいと思う男性がいないので、婚活パーティーに参加して沢山の男性の中から結婚相手を見つけたいと思っています。
 そんな二人が婚活パーティーで意気投合してお付き合いすることになった。太郎は花子をとても好きになって是非結婚に辿り着きたいと思っていた。花子も太郎がタイプなのでしばらくお付き合いしてから結婚を考えようと思っていた。太郎は花子とデートするために花子の好みを探って、花子が喜ぶ場所でデートして、花子が大好きな食事をしようと努力した。太郎は花子と結婚したかったので、どんな時でも花子を大事にした。
 花子は太郎がタイプだったが、太郎と結婚したいとまでは思っていなかったので、太郎につれない態度をとることもあった。太郎は花子につれなくされると、嫌われたのかもしれないと心配して花子に気をつかった。花子はそんな太郎を鬱陶しく思う反面、そこまでわたしのことが好きなんだと悪い気はしなかった。二人が付き合って半年ほど経った。以下省略。

三十二.共に成長していく時

 若い男女が出逢えばやがて結婚につながることもある。お付き合いしている期間よりも、夫婦となってからの期間の方が圧倒的に長い。新婚時代が数年間、やがて子供が産まれて子育てが始まる。子育ての期間は幼稚園に行くまでの幼少期、その後、小学生・中学生となり高校に進学する。今ではたいがい大学に行くので、子育て期間は二十年を超える。その間、夫婦を取り巻く環境は変化し続ける。夫婦はその変化に対応しながら共に成長していく。夫婦の関係も新婚時代と子供が学校に通い始めてからでは変化していく。男女が出逢って結婚し幾久しく共に変化して成長していく。それが「共に成長していく時」である。

 「共に成長していく時」の主人公は「三十一.若い男女が出逢う時」でめでたく結婚することになった夫婦の「あなた(わたし・太郎と花子)」である。

 わたしたち夫婦は昨年結婚したばかり。夫のわたし(太郎)は三十三歳、家内(花子)は二十八歳である。一年間の新婚生活を経て今家内のおなかには子供が宿っている。半年後に出産の予定だ。二人の新婚生活は公営団地での暮らしから始まった。公営団地を選んだのは、わたしが勤めている会社の近くに空室のある団地があって入居者を募集していたからだ。築三十年と古い団地だが、会社の先輩や同僚も入居しており、団地での生活について色々教えてくれることもあって即決した。家内も大賛成だ。二人の実家からも近かったので、週末には交互にそれぞれの実家に顔を出した。子供ができたので、家内は勤めていた会社を辞めた。日本では子供の教育費がかかるので共稼ぎの夫婦がほとんどだが、わたしも家内もせめて子供が小学校を卒業する頃までは、子供に寄り添ってきちんと子育をしたいと思った。それぞれの両親もわたしたちの考え方に賛成してくれた。
 子供が産まれるまでの半年間、できるだけ家内と一緒に行動した。買い物や病院での診断、食事や散歩など、家内の身に何かが起こっても直ぐに対応できるよう一緒に居るようにした。家内は胎教について熱心に学び始め、胎教に良いとされる音楽をおなかの子供に聴かせたり、話しかけたり、絵本を読み聞かせたりしていた。
 日本人としての自覚を持たせたかったので、明治から昭和にかけて文部省が編纂した「文部省唱歌」の中から何曲か選んで聴かせていた。絵本は戦前の国民学校初等科一・二年生の修身の授業で使用された「ヨイコドモ」を読み聞かせていた。以下省略。

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