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易経六十四卦と本書(時の物語)の関係 4

十.カリスマに仕える時       五十二頁    天澤履 ☰☱
十一.安定する時          五十七頁    地天泰 ☷☰
十二.閉塞逼迫する時        六十一頁    天地否 ☰☷

十天(てん)澤(たく)履(り) ☰ ☱ 乾上兌下  カリスマに仕える時 五十二頁
 天澤履はカリスマトップに必死で付いて行かなければ危ない時。自己過信して必死で頑張らない人は命を落としかねない。五爻のカリスマトップが独裁体制を敷いている。五爻に逆らえば首を切られて命が危ない。だからみんな必死で頑張る。頑張るから本来の自分の力以上の結果を出すことができる。そういう意味ではよい時である。
 しかし、下卦兌☱の主爻(主)である三爻は自分の力を過信している。兌☱には「口達者、佞人、腰砕け」という意味がある。三爻は自分は陰爻陽位で力不足で部下に依存しているのに、それを自覚していない。三爻は下卦の上位に居るから現場の長である。下の二陽に支えられて現場の長の役割を果たしているのだが、自分の力で現場を管理していると勘違いしている。

十一地(ち)天(てん)泰(たい) ☷ ☰ 坤上乾下  安定する時 五十七頁
 地天泰は易経六十四卦の中で最も安定した時である。上卦坤☷の「柔順、承ける、載せる、容れる、滋養、謙虚、貞節、包む」という性質が上から降ってくる。下卦乾☰の「剛健、寛大、円満、健全、純粋、正直、誠信」という性質が下から昇ってくる。
 上下がしっくり交わって物事が安定する。これ以上安定している象(かたち)はない。誰もが安らぎ楽しみゆったりとくつろいでいる時である。
 強い者が下に居て、上に居る弱い者を支えている。強い者として理想的な在り方である。日本国民を大御宝(おおみたから)としてその幸せを祈り続けておられる天皇陛下のようである。

十二天(てん)地(ち)否(ひ) ☰ ☷ 乾上坤下  閉塞逼迫する時 六十一頁
 天地否☰☷は地天泰☷☰がひっくり返った形である。地天泰は六十四卦の中で最も安定した時だったが、地天泰がひっくり返った形の天地否は六十四卦の中で最も不安定な時、閉塞する時、逼迫する時である。天地否は物事の盛衰を表す陰陽消長卦において最も盛運の乾為天☰☰と最も衰運の坤為地☷☷の真ん中に位置している。
 まさしく衰運のど真ん中に在るのが天地否である。上卦乾☰は上に向かって進み、下卦坤☷は下に向かって進む。陽と陰が正反対の方向に向かって進むので何事も交わらない。何事も成就しない。世の中には小人(悪しき人々)が蔓延(はびこ)って君子(善き人々)は身の置き場がない。そんな絶望的な状況が天地否の時である。

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