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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)30

二十九.人生で最も辛い時

 貴方にとってこれまで生きてきた中で最も辛い時はどんな時であっただろうか。人生で起こりえる物語の中で最も辛い時。それは貴方にとって「人生で最も辛い時」でもある。時の種類は六十四通りあるが、その中で最も辛い時である。この時を乗り越える方法は只一つ。「真心で物事に真正面から立ち向かう」ことである。小手先で対応しても乗り越えられない。真剣になること。本氣になること。そして覚悟することである。大げさに言えば「死を覚悟する」ことが求められる。「死んでもよい」と覚悟して取り組めば、どんなことでも乗り越えることができる。孟子の「至誠にして動かざる者、未だ之有らざるなり。/真心で物事に真正面から立ち向かえば、どんな人でも心を動かされるものだ。」である。

 「人生で最も辛い時」の主人公は人生の目的を「自己実現」から「社会に貢献する」ことに切り替えた途端、次から次に苦境に立たされることになった「あなた(わたし)」である。

 わたしは小さな頃周りからチヤホヤされて「蝶よ花よ」と育ったので、あらゆる事を自分中心に考えてしまう「自己中心(ジコチュー)」人間だった。そんなわたしなので自分の好きな事をして生計を立て周りからも評価される「自己実現」と言われる生き方が人間として正しい生き方だと信じて疑わなかった。社会に出てサラリーマンとして仕事をしていく中で自分の好きな事だけ出来るわけではないので、ある時サラリーマンを辞めて自分の好きな事をして生計を立てることにした。自分の好きな事でしかも社会にも役立つ仕事なのでわたしは自分の生き方に誇りを感じて堂々と生きていた。ところがある時、リーダーセミナーを受講したところ、ある講師がリーダーたる者「自己実現」などという生き方をしてはならない。リーダーは「社会に貢献する」ために自分の我を捨てて「世のため人のために」生きなければならないと話をしておられた。その講師は大変立派な人で、自分の我を捨てて「世のため人のために」生きておられる方だった。わたしは、「自己実現」を理想の生き方としてきた自分の考え方に疑問を持つようになった。以下省略。

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