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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)4

三.新しいものを産み出す時

 次は「新しいものを産み出す時」の物語である。誰にでも「新しいものを産み出す時」がある。新しいものを産み出せば報われる時がある。「あなた(わたし)」にも「新しいものを産み出した時」があったはずだ。新しいものを産み出したから報われた時があったはずだ。あるいは、これからは「新しいものを産み出そう」と思っていることがあるかもしれない。または、いつも「新しいものを産み出している」人もいるだろう。人間には「新しいものを産み出す時」がある。「新しいものを産み出さなければならない時」もある。
 「新しいものを産み出す時」の物語。主人公は「あなた(わたし)」である。

 わたしは「いろは会社」に勤めている。「いろは会社」はパソコン周辺機器を企画販売している会社で、わたしの役職は商品開発部・開発課長である。社内の体制は会長(前社長)、社長、専務・常務、商品開発部長・総務部長・営業部長、中間管理職(各部に二人・計六人)、一般社員二十人という中小企業である。これまではノートパソコンに特化した商品を企画販売しており業績は安定していたが、ここ数年海外からの安価な商品が市場に出回り、売上が激減している。このまま何の対策も打たなければ、売上は減少し続けて赤字となり倒産に追い込まれてしまうだろう。
 わたしはこれまで社長からノートパソコンに特化した商品開発を任されて、ヒット商品を沢山企画販売してきた実績があるが、その市場に海外からの安価な商品が出回るようになり、新しい市場を開拓する必要に迫られている。社内には社長と専務を中心とした新市場開拓プロジェクトチームが立ち上がったが、新市場開拓には新しい視点が必要だという社長の判断で若手社員五人が抜擢され、わたしはチームに入れてもらえなかった。わたしにはこれまでヒット商品を沢山企画してきたという自負があるので、社長に直談判したが、社長は「きみのこれまでの経験と実績が新市場開拓に必要な新しい視点を疎外するから駄目だ。」と断定されてわたしの自負心は大いに傷付いた。以下省略。

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