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はじめての易経 52.艮為山

五十二艮(ごん)為(い)山(さん) ☶ ☶ 艮上艮下

 互卦 四十雷水解☳☵
 綜卦 五一震爲雷☳☳
 錯卦 五八兌爲澤☱☱

 艮為山は上卦・下卦共に艮☶山である。山はどっしりと止まって微動だにしない。それゆえ、外面的(物質的)に物事が発展・成就する側面よりも、内面的(精神的)に安定する側面に焦点を中てた時の物語である。
 経文(卦辞・彖辞)に「其(その)背(せ)に艮(とど)まり、其(その)身(み)を獲(え)ず」とあるが、其(その)背(せ)とは内面(精神)、、其(その)身(み)とは外面(物質)である。すなわち、内面(精神)が安定していれば、外面(物質)がどうであろうと気にならないのである。
 般(はん)若(にや)心(しん)経(ぎよう)に「色(しき)即(そく)是(ぜ)空(くう)、空(くう)即(そく)是(ぜ)色(しき)」とあるが、「色」とは外面(物質)、「空」とは内面(精神)である。俗世間で起こる出来事は「色(外面)」である。外面的(物質的)に成功しようが失敗しようが、そんなことには囚われずに、内面的(精神的)に安定している。それが「其(その)背(せ)に艮(とど)まり、其(その)身(み)を獲(え)ず」である。
 俗世間の価値観に左右されることなく、どんな状況や状態に置かれたとしても、精神的に安定している。これが「色(しき)即(そく)是(ぜ)空(くう)」の境地である。どんな状況や状態であろうが、精神的に安定しているから、自由自在に生きていける。これが「空(くう)即(そく)是(ぜ)色(しき)」である。このような境地に達するには、自我に囚われてはならない。自我は自分中心の発想であり、「私利私欲」である。「私利私欲」に囚われると、外面的(物質的)な結果に惑わされる。物事が成就すれば喜ぶし、成就しなければ悲しむ。
 勿論、人間だから喜怒哀楽の気持をなくすことはできない。物事が上手くいったら喜び、いかなかったら悲しむ。けれども、喜びや悲しみの気持をずるずると引きずらない。一旦喜んでも、直ぐに平常心に戻り、一旦悲しんでも直ぐに平常心に戻る。そのように自分の気持ちを制御して、内面的(精神的)にいつも安定していることが大切なのである。
 「色(しき)即(そく)是(ぜ)空(くう)、空(くう)即(そく)是(ぜ)色(しき)」。物事が上手くいったら素直に喜び、いかなかったら素直に悲しむ。けれども、その気持ちを引きずらずに平常心に戻る。常に平常心で物事に対応するから、うまく行こうがいくまいが内面的(精神的に)安定しているのである。

 以上が艮為山の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。

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