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はじめての易経 39.水山蹇

三十九水山蹇 ☵ ☶ 坎上艮下

 互卦 六四火水未濟☲☵
 綜卦 四十雷水解 ☳☵
 錯卦 三八火澤睽 ☲☱

 水山蹇は四大難卦の一つである。四大難卦以外に異常事態で暗黒社会の地火明夷☷☲を加えると、六十四卦の中には五つの艱難辛苦の卦がある。一番困難な卦は坎為水☵☵と地火明夷☷☲、次は澤水困☱☵、その次が水山蹇☵☶、そして、水雷屯☵☳という順である。異常事態の地火明夷以外は全て坎☵が置かれている。水山蹇は上卦に坎☵、下卦に艮☶が置かれている。上卦坎☵の艱難辛苦を下卦艮☶の山がしっかりと受け止めている。だから、困難さの度合いは坎為水、地火明夷、澤水困よりも弱くなる。
 坎為水の困難は乗り越えられない可能性がある。場合によっては命を失うかもしれない。地火明夷の困難は暗君を討伐しないと乗り越えられない。暗君を討伐できる人物が世の中に現れないと、いつまでも地火明委の異常事態に覆われていることもある。バブル崩壊後から現在に至るまでの日本社会は地火明夷の異常事態に覆われ続けている。暗君を討伐できる人物はしばらく現れそうもないので、まだまだ異常時代が続くであろう。澤水困の困難は坎為水や地火明夷と比較すれば、困難の度合いがやや弱まる。けれども、命がけで対応しないと乗り越えられない
 水山蹇は、上卦坎☵の艱難辛苦を、下卦艮☶の山がしっかりと受け止めてくれるから、時間にゆとりができる。澤水困は下卦坎☵の困難が最初から待ち構えているから、時間的なゆとりがない。いきなり困難な状況に置かれて、その中で命がけで対策を考えなければならない。これは結構大変である。
 水山蹇の下卦艮☶の山は、上卦坎☵の艱難辛苦を受け止めてはくれるが、同時に乗り越えなければならない山(困難)でもある。だが、急いで登る必要はない。艮☶には「止まる」性質があるので、水山蹇の困難を乗り越える対策を立ち止まって考えることができる。ここが澤水困との違いである。澤水困は困難な状況の中に置かれて命がけで対策を考えなければならない。水山蹇はこれから登って行く山(困難)の前で立ち止まって、じっくりと対策を練ることができる。だから余裕があるのである。
 山を登り始める前に平地で大きく深呼吸して、策をイメージする。それから、ゆっくり山に登って頂上に立ち、前途の困難を見渡して具体的な対策を構想し、組織一体となって力を合わせれば、やがて困難を乗り越えられる。これが水山蹇の時である。

 以上が水山蹇の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。

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