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はじめての易経 35.火地晋

三十五火地晋(かちしん) ☲ ☷ 離上坤下

 互卦 三九水山蹇 ☵☶
 綜卦 三六地火明夷☷☲
 錯卦  五水天需 ☵☰

 火地晋は下卦坤☷の大地の上に上卦離☲の太陽が燦々と輝いている。誠に穏やかで、初冬の小春日和のように平和な時である。
 火地晋☲☷がひっくり返ると綜卦の地火明夷☷☲になる。大地の下に太陽が沈んで暗黒の世となる。太陽は天地宇宙や人間にとってなくてはならない存在である。易経の基本原理は太極の中に陰陽混在しているところから始まる。太陽は陽の象徴であり、大地は陰の象徴である。だから大地の上に太陽が在って大地を燦々と照らしているときは平和で何事も安定しており物事が成就する。けれども、太陽が大地の下に沈んで大地を照らさなくなれば平和は乱れて何事も不安定となり物事は成就しなくなる。
 火地晋は六十四卦の中で最も不安定な時、閉塞する時、逼迫する時である天地否☰☷五爻の之卦(天地否五爻が陰陽反転した卦)である。天地否の五爻は悪の親玉である。世の中が閉塞逼迫する時の暗君である。この暗君が元凶となって世の中は不安定となる。
 天地否の暗君五爻が陰爻に変じて火地晋の名君となれば、暗黒の世は一転して天下泰平となる。であるからして、火地晋の時は誠に善い時だが、一つだけ欠点がある。五爻の側近の四爻が不心得者なのである。不心得者の四爻は下卦坤☷の臣下と五爻の名君の間を引き裂こうとしている。
 四爻が不心得者でも除去すれば、陽爻が陰爻に転じて之卦山地剝となる。山地剝は陰陽消長卦の循環で大衰運の時である。だから四爻を除去してはいけない。除去せず悪い方向に進まないように監視して、付かず離れずの関係を維持して組織の中に許容するのである。それが火地晋の時を良好に保つ秘訣である。

 以上が火地晋の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。

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