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はじめての易経 18.山風蠱

十八山風蠱 ☶ ☴ 艮上巽下

 互卦    五四雷澤歸妹 ☳☱
 綜卦・錯卦 十七澤雷隨  ☱☳

 上卦艮☶の山の下で、下卦巽☴の風が吹き荒れ、物事が錯乱している。あるいは、上卦艮☶の山に遮られて、風が滞るから物事が腐敗する。錯乱して腐敗したのが「蠱」の字である。
 お皿の上の食べ物が腐敗して虫が湧いたのである。腐敗した状態を正すことが求められているが、腐敗した状態は「変革・刷新」によらなければ正すことはできない。
 組織に例えれば、徐々に組織が乱れてきて、このまま何もしないと組織が立ち行かなくなる。このような状況を「変革・刷新」するには、現体制を刷新して対応することが求められる。
 山風蠱の時を分かり易く理解するためには、創業社長が大きく育てた会社が近年の急激な事業環境の変化に対応できず、業績が悪化している状況の中、すでに高齢者の年齢に達した創業社長には、これまで会社を大きくしてきた経験と自負心があるので、思い切った「変革・刷新」ができない。そこで、他社で働いている息子に会社に入ってもらい、次期社長として「変革・刷新」に取り組んでもらう時と考えるとよい。
 いくら息子が次期社長でも、創業社長が大きくした会社には数百人の従業員がいる。外から帰ってきた息子が、いきなり「変革・刷新」に取り組むことはできない。先ずは、会社のことをよく知り下積みの仕事も経験して従業員から信頼されることが大事である。そんな風に考えていくと山風蠱の時がよく分かる。
 以上の物語を卦象に当て嵌めると、上卦艮☶は創業社長を始めとした現経営陣であり、下卦巽☴は次期社長である息子とその片腕となるような優れた部下達。現経営陣は山☶のように止まっており、組織を「変革・刷新」することを拒む、それに対して次期社長と優れた部下達は大胆な「変革・刷新」案を考えて、風☴のように現経営陣に入り込み説得しようとする。
 山風蠱と一緒に理解しておきたいのが澤火革である。いずれも変革の時であるが次のような違いがある。
 山風蠱☶☴ 既存の組織や社会を残して変革・刷新する時。
 澤火革☱☲ 既存の組織や社会を壊して変革する革命の時。

 以上が山風蠱の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)

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