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はじめての易経 2.坤為地

二坤(こん)為(い)地(ち) ☷ ☷ 坤下坤上

 互卦 同  綜卦 同  錯卦 一乾(けん)爲(い)天(てん)☰☰

 上卦下卦とも「乾☰」で成る「乾為天☰☰」の次は「坤為地☷☷」である。坤為地は上卦下卦とも「坤☷」で成る。
 乾為天の働きが公的な目的や志を打ち立てて、それを体現すべく坤為地に向かって無限のエネルギー(一大元氣)を発することであることに対して、坤為地の働きは、乾為天が発した無限のエネルギー(一大元氣)を何の解釈もせずに、そのまま素直に受け容れて、乾為天が打ち立てた公的な目的や志を体現すべく、形有る物を産み出すことである。
 坤☷を自然に配当すると「地・大地」である。宇宙空間に無数ある惑星の大地である。
 ここでは地球と云う惑星に特定して考察していく。宇宙で起こりえるあらゆる物語は宇宙の根源的なエネルギー(一大元氣)の発動から始まる。これが「乾為天」の造化の作用である。「坤為地」はその乾為天が発したエネルギー(一大元氣)を何の疑いもなくそのまま素直に受け容れる。
 陽|と陰・の関係において、陽|の役割は陰・に向かってエネルギーを発することである。そのエネルギーには目的がある。その目的を理念・ビジョン(構想)・使命などと名付ける。目的を持たないエネルギーは陰・に受け容れてもらえない。陽|の役割は目的、すなわち「理念・ビジョン(構想)・使命」を明確に定めることである。陽|の働きを全うするためには確固たる信念、志、哲学などを持たなければならない。その信念、志、哲学に基づいて目的を明確に定めるのである。それができなければ陽|の資格はない。陽|の資格がない陽|が発するエネルギーは陰・に受け容れてもらえないので彷徨い雲散霧消して物事は成就しない。
 陰・の役割は陽|が陰・に向かって発した明確な目的を持ったエネルギー(一大元氣)を何の疑いもなく素直に受け容れることである。そして、その目的に沿って形のないエネルギー(元氣)を形のある物やサービスとして世の中に生み出す。
 空(エネルギー)から色(物やサービス)を生み出す(空即是色)のが陰・の造化の作用である。大事なことは陽|が発したエネルギーを髪の毛一本ほどの疑いの気持ちを抱くことなく受け容れることである。仮に陽|が発するエネルギーの力を百と云う数字で表すとする。陰・に疑う気持ちが髪の毛一本ほどでもあれば、百の力は疑う気持ちの大きさだけ減じてしまう。すなわち、陽|が発した百の力は九十、八十、七十とどんどん小さくなっていく。疑う気持ちが大きければ大きいほど、百の力は終には十となり五となりどんどん小さくなっていく。そうなると陽|が確立した目的を達成することは不可能になってしまう。
 これを人間社会に例えると、従業員から慕われる威厳のある会社の社長(乾為天)が経営理念やビジョンを思い描いて、従業員(坤為地)にその熱い思いを伝える。社長を尊敬している従業員は社長の話を聞いてその熱い思いをそのまま素直に受け容れ、商品やサービスを生み出すと云う関係になる。

 以上が坤為地の概要である。

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