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はじめての易経 1.乾為天

一乾(けん)為(い)天(てん) ☰ ☰ 乾下乾上

 互卦 同  綜卦 同  錯卦 二坤(こん)為(い)地(ち)☷☷

 六十四卦は上卦下卦とも「乾☰」で成る「乾為天☰☰」の物語から始まる。乾為天は上卦も下卦も宇宙の根源的なエネルギー(一大元氣)で成っている。永遠であり、広大であり、剛強であり、無限であり、無(む)窮(きゆう)(窮(きわ)まりが無いの)である。
 「乾為天☰☰」の物語は、わたしたちの人生の教訓や羅針盤として役に立つ。
 両親に庇護され学校に通う幼少期から青少年期を経て、進路を考える青年期から、社会に出て色々な仕事を経験し年を重ねて、やがて老年期を迎えるという人生の流れに「乾為天☰☰」の物語はピタリと当て嵌まる。
 「おおきな物語」として見た場合、まずは、生きていく上での志や人生の目的を定める段階がある。
 大きな志や大きな目的を定めた人は、大きなエネルギーを自分の心の中にある太極から引き出して、志や目的を体現するための取り組みを始める。良き習慣を身に付け人間性を磨き、師匠を探して教え導いてもらう。師匠の教えを自分のものとして人間力を積み上げ、試行錯誤しながらチャンスを窺う。やがてチャンスを掴んで志や目的を達成するのである。やがて、身を引く時が来たら、その地位にしがみつくことなく身を引く。

 以上が乾為天の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)

卦(か)辞(じ)・彖(たん)辞(じ)(物語全体の意義を書いている文章)
乾、元亨利貞。
○乾(けん)は元(げん)亨(こう)利(り)貞(てい)。乾(けん)は元(おお)いに亨(とお)りて貞(ただ)しきに利(よろ)し。
 乾為天は、あらゆる物事が、貴方の力量に応じて最大限に成就する時である。貴方が何かを成し遂げようとすれば、貴方が設定した人生の目的や志(世のため人のために何かを成し遂げたいと願う気持ち)の大きさ(例えば、「事業を通して周りの人々を幸福にしたい」と願う人と「事業を通して日本中の人々を幸福にしたい」と願う人がいた場合、後者の方が人生の目的や志が大きいと考える)を最大限とする力が発揮され、公的な目的や志は、その大きさに比例して成就する。
 天地の道(公の道)に則って人の道の真ん真ん中を堂々と歩むが宜しい。但し、天地の道に背いて人の道から外れた(公の道を忘れて私利私欲に走った)場合、一時は成果が出るかもしれないが長続きしない(何(いず)れ破綻する)のである。

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