十四火(か)天(てん)大(たい)有(ゆう) ☲ ☰
互卦 四三澤(たく)天(てん)夬(かい) ☱☰
綜卦 十三天(てん)火(か)同(どう)人(じん) ☰☲
錯卦 八水(すい)地(ち)比(ひ) ☵☷
火天大有は易経六十四卦の中で最も善い時である。最も物事が成就するのは乾為天☰☰だが、乾為天も最後は亢龍となって堕ちていく。最初から最後まで善い状態が続き、最後まで行っても堕ちていかないのが火天大有の時である。
何故火天大有は最後まで行っても堕ちていかないのか。その秘訣は一陰の五爻にある。火天大有の五爻が陽に転ずると乾為天の五爻となる。「飛龍天に在り。大人を見るに利し。」の飛龍である。六十四卦にはそれぞれ六爻あり、六十四×六=三八四爻となる。そのうち、乾為天の五爻が最も大事業を成し遂げられる爻である。剛健そのものである。けれども、五爻はやがて上爻となり「亢龍悔い有り。」となって天から墜ちていく。
乾為天の時は大事業を成し遂げることはできるが、やがて終わりがやって来る。乾為天に限らず六十四卦の時はいつかは終わりを迎える。けれども火天大有をうまく制御すれば幾久しく安泰な時を続けて行くことができる。
乾為天の五爻が陰に転じたのが火天大有である。乾為天の五爻は剛健そのものであり力強く物事を前に進めていく。けれどもいつかは衰えて上爻の亢龍となって天から墜ちていく。だが、火天大有の五爻は陰爻だから柔順で柔和である。上卦離☲の主爻(主)だから「明智・明德」を具えて、「中虚で己を虚しくする」ことができる。無私や無我の境地で人々を思いやることができる。
五爻は王位だから、思いやりの仁政を施すことができる。だからみんな幸せである。みんな王さまに幾久しく幸せの時を続けてほしいと願い、幾久しく王位に在ってほしいと願う。以上のことから火天大有の時は幾久しく続けて行くことができるのである。また初爻から上爻まで悪い言葉はかけられていない。上爻に至っては「天より之を祐(たす)く。吉にして利しからざるなし。」とある。乾為天の上爻「亢龍悔い有り。」とは対照的である。
また、火天大有を日本の神様に当て嵌めれば天照大御神(あまてらすおおみかみ)である。乾為天☰☰の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)(陽の神様)と坤為地☷☷の伊邪那美命(いざなみのみこと)(陰の神様)が国生み・神生みの役割を終えて、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)(陽の神様)の左目(陽の意味)から生まれたのが天照大御神(あまてらすおおみかみ)である。これまでは男神の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が陽の神様だったが、ここから女神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が陽の神様として日本の国を統治する(しらす)ようになった。また、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)(陽の神様)の鼻(陰の意味)から生まれたのは須佐之男命(すさのおのみこと)である。須佐之男命(すさのおのみこと)は男神だが陰の神様として日本の国土開発を担うようになる。以下省略。