十三天(てん)火(か)同(どう)人(じん) ☰ ☲
互卦 四四天(てん)風(ぷう)姤(こう) ☰☴
綜卦 十四火(か)天(てん)大(たい)有(ゆう) ☲☰
錯卦 七地(ち)水(すい)師(し) ☷☵
天火同人は君子が志を同じくする時である。一陰五陽の一陰が陽に転ずると乾為天☰☰となる。風天小畜☴☰、天澤履☰☱、次の火天大有☲☰、もっと後に登場する澤天夬☱☰、天風姤☰☴、いずれも一陰が陽に転ずると乾為天☰☰となる。
天火同人の二爻が陽に転ずると乾為天の二爻となる。乾為天の二爻は意志強固で天下泰平の志を体現すべく真っ直ぐ前に進んで行く。けれども天火同人の二爻は陰爻だから意志薄弱で私心に囚われ天下泰平の志を体現できない。どうしても自分に囚われて世のため人のために尽くすことができない。
一陰五陽の卦はいずれも乾為天の之卦である。本来乾為天であるべき形が一陰五陽である。乾為天は君子の中の君子である。常に大人(君子よりも立派な大人物)を目指して自分に囚われないように努力を重ね、世のため人のために尽くしている。だから六十四卦中最も大事業を成し遂げることができるのである。
天火同人は自分に囚われる弱さを克服して世のため人のために尽くすべく心を磨く時である。下卦離☲には「明智・明德」という優れた性質がある。自分の中に眠っているその性質を引き出して磨いていくことが求められる。小人は自分に囚われて世のため人のために尽くすことができない。君子は自分に囚われないから世のため人のために尽くすことができる。誰もが心の中に「明智・明德」を具えている。自分の中に眠っている「明智・明德」を引き出して磨いていくのである。以下省略。