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六十四卦の概要 澤風大過

二十八澤風大過 ☱ ☴

 澤風大過☱☴は山雷頤☶☳の錯卦(陰陽反転した形)である。山雷頤が容れ物がしっかりしている(上爻と初爻が陽爻)のに中身が空っぽ(四爻から二爻まで陰爻)なのに対して、澤風大過は容れ物が壊れそう(上爻と初爻が陰爻)なのに、中身がぎっしりと詰まっている(四爻から二爻まで陽爻)。
 ぎっしりと詰まっている中身は剛強で活発に動くので、壊れそうな容れ物が倒壊しかねない時である。
 例えば、社会や組織が弱体化して一体感がなくなり壊れそうな時に、その社会や組織に属している剛強な人々が活発に動き過ぎれば、その社会や組織はバラバラになって崩壊する恐れがある。
 あるいは、老朽化した建物の中で大勢の人が活発に動き過ぎれば、建物が崩壊する恐れがある。そこで、壊れそうな社会や組織や建物が崩壊しないように、活動を制御しながら前進することが求められるのが澤風大過の時である。
 澤風大過の文章は比喩的で何を言わんとしているのか理解することが難しいが、次のように考えると納得できる。
 澤風大過の時を人材は豊富だが組織としての基盤が脆弱な中小企業に例える。上爻は創業者で年老いた会長であり、従業員から尊敬されているが実権はなく、すでに経営者としての能力もない。五爻は創業者の息子で二代目の社長である。創業者の跡継ぎとして長年経営に携わってきたが、経営環境の変化に迅速に対応することができずに、組織が弱体化してきた。年齢も六十五を迎えて組織を率いていく経営者としての意欲も能力も衰え始めている。よって、五爻の経営者には弱体化した組織を立て直す力はない。二爻に三代目となる息子が現場の中心となって頑張っているので、そろそろ社長の座を息子に譲りたいと考えている。四爻は二代目社長の従兄弟でやり手の専務である。社長の側近として会社を支えており、実質的に会社を動かしている経営のプロである。会社の脆弱な組織基盤を立て直そうと日々努力している。三爻は生え抜きの優秀な従業員。現場の長として会社の運営を任されているが、自己過信しているところがあり、やり過ぎて脆弱な組織を揺るがすことがある。初爻は専務の娘であり三代目社長候補者の二爻と付き合っており、将来は結婚する約束をしている。現場の中心となって頑張っている二爻を補佐して、父親である専務と力を合わせて脆弱な組織を強固にしようと日々努力している。以下省略

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