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六十四卦の概要 山火賁

二十二山火賁 ☶ ☲

 山火賁は上卦艮☶の山を、下卦離☲の火が照らして飾り立てている。ライトアップして見栄(みば)えをよくしている時である。一見、立派に見えるが飾り立てているのだから中身は充実していない。中身が充実していないから、大事業は成し遂げられない。
 飾り立てることが悪いのではない。中身が素晴らしくても外見がみすぼらしければ誰にも相手にされない。中身と外見がバランスしている状態が理想である。飾り立てることはほどほどにして、中身に目を向けることの大切さを教えてくれる物語である。
 下卦離☲には「装飾、虚飾」の意味がある。物語の最初は装飾に向かって行く段階なので問題ない。けれども、装飾が過ぎると虚飾となる。虚飾は中身が伴わないので好ましくない。同じ離☲の「明智・明德」の性質を生かして、虚飾に向かおうとしている自分に気付くべきである。以上が前半(下卦離☲)の物語である。
 上卦艮☶には「休止、節、篤実な人」という性質がある。下卦離☲の前半を終え、上卦艮☶の後半に入ったら、装飾することを休止して、ここを節目に質素倹約に心がけ、篤実な人になることを目指すべきである。以上が後半(上卦艮☶)の物語である。
 この前半の物語(装飾、虚飾)を人生の前半(五十歳位まで)に当て嵌め、後半の物語(篤実な人になる)を人生の後半(五十歳位以降)に当て嵌めると味わい深い。
 社会の第一線でバリバリ仕事をしたり、色々な人とお付き合いしている時(人生の前半)には飾り立てることも必要だが、飾り立てることばかりに夢中になっていると虚飾となって、人間的に薄っぺらくなってしまう。だから五十を過ぎて、人生も後半にさしかかったころからは、飾り立てることから卒業して、質素倹約に努めて周りの人から好かれる篤実な人を目指そう。こんな風に読み取るとこれは一つの人生哲学となる。以下省略

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