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六十四卦の概要 水天需 天水訟

五水天需 ☵ ☰

 無知蒙昧な人物がトップの位(五爻)に就いてしまった山水蒙(☶☵)の次には、トップの蒙昧無知が啓けて組織としての体を成すようになった水天需(・|・|||)の時が置かれている。水天需は上卦坎の険難な状況の下に、下卦乾の剛健な人々が佇(たたず)んでいる。剛健な人々は前(上)に進んで行き嶮難な状況を克服したいと目論(もくろ)んでいるが、上卦坎の険難な状況がそれを阻(はば)んでいる。上卦坎は険難な性質と共に自然に当て嵌めると水である。すなわち、天上(上卦)に水が浮いている。その水は慈雨である。慈雨は物事の成果と考えることもできる。上卦が険難であり慈雨であるならば無理に前に進んで行っても成果を得られない。成果を得るためには時が至るのを待つことが求められる。
 以上のことから水天需は時が至るのを待つ時である。待てば必ず成果を得ることができる。待つことができずに動けば成果を得ることはできない。何事も最善を尽くせば結果を出すことができる。しかし、結果を求めて焦ってはならない。大事なのは結果を出すことではない。何かのために最善を尽くすことである。最善を尽くせば遅かれ早かれ必ず結果が出る。だから最善を尽くして結果が出るのを待っていればよい。待っていれば必ず結果が出る。水天需はそういう時である。 以下省略

六天水訟 ☰ ☵

 天水訟は組織内部で争い事が起こる時、内輪揉めする時である。上卦乾(組織上部)は剛健であるから、下卦坎(組織下部)が太刀打ちできないほど強い。下卦坎(組織下部)は険しい気持ちで上卦乾(組織上部)に立ち向かおうとするが強敵なので迂闊に動けない。上卦乾(組織上部)は天なので上に在り、下卦坎(組織下部)は水なので下に在る。上と下が離れ離れで一体化できない。以上のような上卦と下卦の関係を組織内部の争い事、内輪揉めと見る。組織内部の争い事は勝った負けたの決着をつけてはならない。勝った負けたの決着は組織の分裂につながる。組織を維持するためにはお互い妥協して調停することが必要となる。調停するためには争っている者の間に立つ人格者が必要となる。天水訟ではその人格者を五爻と見立てる。五爻は組織トップの位である。
 以上のことから、組織を国家とすれば五爻は政府あるいは総理大臣、会社とすれば五爻は社長、会社以外の様々な組織とすれば五爻はリーダーと呼ばれる人、家庭であれば父親(場合によっては母親)である。組織内部の争い事が収まるかどうかは五爻が人格者であるかないかで決まる。人格者なら収まるが、そうでなければ収まらない。今の時代は国家も会社もその他色々な組織も人格者がトップの位にあることが少ない。大きな組織になればなるほど人格者がトップの位にいない。なぜなら、偏差値教育の勝者がトップの位にいることが多いからである。偏差値教育の勝者は人格者ではない。ただ暗記力や理解力があるだけである。人格者とは仁の人である。仁とは思いやりの心である。易経では仁の人を君子と云い、また大人と云う。 以下省略

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