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四季と易経 その四十八

鷹乃学習(たなすなわちがくしゆうす)(七十二候の二十七候・小暑の末候)

【新暦七月十七日ころから二十一日ころまで】
 意味は「鷹の幼(よう)鳥(ちよう)が飛ぶことを覚える(絵で楽しむ)」である。
 「絵で楽しむ」には次のように書いてある。
 鷹の子が飛び方を覚えるころ。日本全国には約二十二種の鷹がいるといわれます。(中略)『日本書紀』によると、四世紀の仁徳天皇の時代にはすでに鷹狩りが行われていたとか。

 「鷹乃学習(たなすなわちがくしゆうす)」は、易経・陰陽消長卦の「天風姤」上六に中る。次に「天風姤」上六の文章(爻辞と小象伝)を示す。
 「天風姤」上六の言葉は【新暦七月十七日ころから二十一日ころまで】に当て嵌まる。

天風姤上九(易経・陰陽消長卦)

《爻辞》
上九。姤其角。吝无咎。
○上九。其(その)角(つの)に姤(あ)ふ。吝(りん)。咎无し。
 上九は剛健過剛の不中正。動物の頭のてっぺん(上爻)にある角(つの)のような傲慢な態度で悪しき小人初六に逢おうとする。このような傲慢な態度では邪心を蔓延(はびこ)らせて君子(陽爻)を誑(たぶら)かそうと企んでいる小人初六でも上九には逢おうとしない。上九は恥をかくだけだが、悪しき小人初六に誘惑されることもないので、結果として過失には至らない。

《小象伝》
象曰、姤其角、上窮吝也。
○象に曰く、其(その)角(つの)に姤(あ)ふとは、上(かみ)窮(きわ)まりて吝(りん)なる也。
 小象伝は次のように言っている。上九は傲慢な態度で悪しき小人初六に逢おうとする。世間を見下し、世情に疎(うと)く、傲岸不遜な人物である。人間として恥ずかしい。

 「天風姤」上九の之卦は「澤風大過」である。次に「澤風大過」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)と「澤風大過」上六の言葉(爻辞、小象伝)を示す。これらの言葉は「天風姤」の上九と同じく【新暦七月十七日ころから二十一日ころまで】に当て嵌まる。

澤風大過(天風姤上九の之卦)

《卦辞・彖辞》
大過、棟橈。利有攸往。亨。
○大(たい)過(か)は、棟(むなぎ)橈(たわ)む。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)し。亨(とお)る。
 大(たい)過(か)は上下が二陰、真ん中が四陽であるから、上下両端が弱く、真ん中の強さに耐えかねる形なので、棟(むな)木(ぎ)が撓(たわ)んで建物が倒(とう)壊(かい)する危機にある。
 しかし、下卦巽(そん)は巽(そん)順(じゆん)な性質、上卦兌(だ)は和悦する性質であり、陽剛の九二と九五には中庸の德がある。剛中(九二と九五)にして巽順(下卦巽)に謙(へりくだ)り、和悦する美德(上卦兌)を以て倒壊の危機を救うために進み往(ゆ)くが宜しい。
 倒壊の危機を救うべく進み往くことによって、すらっと通るのである。

《彖伝》
彖曰、大過、大者過也。棟橈、本末弱也。剛過而中、巽而説行。利有攸往。乃亨。大過之時大矣哉。
○彖に曰く、大過は大なる者過ぐる也。棟(むなぎ)橈(たわ)むとは、本(ほん)末(まつ)弱ければ也。剛過ぎたれども中(ちゆう)し、巽(そん)にして説(よろこ)びて行く。往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)し。乃(すなわ)ち亨(とお)る。大過の時、大なる哉(かな)。
 彖伝は次のように言っている。大過は上下が二陰(小なる者)、真ん中が四陽(大なる者)であるから、大なる者(陽)の力が強過ぎる。倒壊の危機にあるのは、上下両端が弱く、真ん中の強さに耐えかねる(棟(むな)木(ぎ)が撓(たわ)んで建物が倒(とう)壊(かい)する)形だからである。
 四陽(大なる者)は強過ぎるが、九二と九五は中庸の德を備えて、巽順に謙(へりくだ)り、和悦する美德を以て進み往く。倒壊の危機を救うために進み往くが宜しい。倒壊の危機を救うべく進み往くことによって、すらっと通るのである。大過の時は何と偉大であろうか。

《大象伝》
象曰、澤滅木大過。君子以獨立不懼、世遯无悶。
○象に曰く、澤(さわ)、木を滅(めつ)するは、大過なり。君子以て獨(どく)立(りつ)して懼(おそ)れず、世を遯(のが)れて悶(もだ)ゆる无(な)し。
 大象伝は次のように言っている。木を潤(うるお)して養うはずの澤(さわ)の水が、木を浸(おか)して木が枯れようとしているのが大過の形である。君子はこの形を参考にして、大地に根を張り毅(き)然(ぜん)と独立している大木のように、揺るぎのない志を貫いて、何事にも懼(おそ)れることなく、隠遁して世を遁(のが)れている時でも、和悦する美徳を貫いて悶(うれ)えることはないのである。

澤風大過上六(天風姤上九の之卦・爻辞)

《爻辞》
上六。過渉滅頂。凶无咎。
○上六。過ぎて渉(わた)りて頂(いただき)を滅(めつ)す。凶。咎(とが)无(な)し。
 上六は柔弱にして無力(陰爻陰位)なのに倒壊の危機にある大過の極点に居る。危険を冒(おか)して大川を渉るが、柔弱にして無力なので、頭のてっぺんまで水中に没してしまう。
 柔弱にして無力な上六に、倒壊の危機にある大過の時を救済することはできないが、その志を咎(とが)めることは誰にもできないのである。

《小象伝》
象曰、過渉之凶、不可咎也。
○象に曰く、過ぎて渉るの凶は、咎(とが)む可(べ)からざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。危険を冒して大川を渉り、柔弱にして無力なので、頭のてっぺんまで水中に没してしまう。
 柔弱にして無力な上六に大過の時を救済することはできないが、大過の時を救済しようとする上六の志は、誰にも咎(とが)めることはできないのである。

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