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四季と易経 その十五

雨水(二十四節氣の二節氣)

【新暦二月十九日ころから三月四日ころまで】
 「立春」の次の二十四節氣は「雨水」である。
 降っていた雪がいつしか雨に変わり、積もった雪や氷が本格的に解け始めるころ(絵で楽しむ)。

土脉潤起(つちのしよううるおいおこる)(七十二候の候の四候・雨水の初候)

【新暦二月十九日ころから二十三日ころまで】
 意味は「春の雨が大地を潤し始める(絵で楽しむ)」である。
 「絵で楽しむ」には次のように書いてある。
 雪に代わってしっとりとした雨が降り始め、大地が湿り気を含み出す時季。

 「土脉潤起(つちのしよううるおいおこる)」は、易経・陰陽消長卦の「地天泰」初九に中る。次に「地天泰」初九の文章(爻辞と小象伝)を示す。
 「地天泰」初九の言葉は【新暦二月十八日ころから二十二日ころまで】に当て嵌まる。

地天泰初九(易経・陰陽消長卦)

《爻辞》
初九。抜茅茹。以其彙。征吉。
○初九。茅(ちがや)を抜くに茹(じよ)たり。其(そ)の彙(たぐい)を以(もつ)てす。征(ゆ)きて吉。
 賢人初九(陽爻陽位の正位)は、正応六四の大臣に抜擢される。一本の茅(ちがや)(初九)を引き抜けば他の茅(ちがや)(九二・九三)も一緒に引き抜かれるように、九二と九三を一緒に引き連れて行き、朝廷にお仕えするが宜しい。賢人(初九・九二・九三)が率先して天下国家にお仕えすれば、幸運を招き寄せるのである。

《小象伝》
象曰、抜茅、征吉、志在外也。
○象に曰く、茅を抜く征きて吉とは、志外に在れば也。
 小象伝は次のように言っている。六四に抜(ばつ)擢(てき)された賢人初九が、九二と九三を一緒に引き連れて行き、朝廷(天下国家)にお仕えする。賢人が朝廷(外卦)に結集して、天下泰平の志を同じくするから、幸運を招き寄せるのである。

 「地天泰」初九の之卦は「地風升」である。次に「地風升」の全体像を表す言葉(卦辞・彖辞、彖伝、大象伝)と「地風升」初六の言葉(爻辞、小象伝)を示す。これらの言葉は「地天泰」の初九と同じく【新暦二月十八日ころから二十二日ころまで】に当て嵌まる。

地風升(地天泰初九の之卦)

《卦辞・彖辞》
升、元亨。用見大人。勿恤。南征吉。
○升(しよう)は、元(おおい)に亨る。用て大人を見る。恤(うれ)ふる勿(なか)れ。南征して吉。
 地風升は下卦巽の木(陰陽五行)が上卦坤の大地の中から、芽吹き成長して升り進む卦象から物事がドンドン升り進む盛運の時である。
 その上、「時機(巽の木が坤の地から養分を得て升る時)」と「道德(巽順と柔順)」と「応援(六五と九二が正しく応じている)」の三德が揃っているので、何事もすらすら通る。
 柔順にして中庸の德を具えている六五の天子(トップ)と剛健にして中庸の德を具えている九二の大人は、巽(そん)順(じゆん)と柔順の德を以て相(あい)見(まみ)え(面会す)るので、何も心配することはない。共に下卦巽(東南)から離(南)を経て上卦坤(西南)に進み行けば幸運を招き寄せる。或いは共に離(文王八卦で南の方角)の明るい方面に進み行けば幸運を招き寄せる。

《彖伝》
彖曰、柔以時升、巽而順、剛中而應。是以大亨。用見大人、勿恤、有慶也。南征吉、志行也。
○彖に曰く、柔、時を以て升(のぼ)り、巽(そん)にして順、剛中にして應ず。是を以て大いに亨る。用て大人を見る、恤ふる勿れとは、慶(よろこび)有る也。南征して吉とは、志行はるる也。
 彖伝は次のように言っている。下卦巽(一陰二陽は柔卦)が升(のぼ)る時を得て升る(下卦巽の初六は木の根、九二と九三は幹。根が地中に深く入って養分を吸い上げて芽を出し、幹が成長するのである)。巽(そん)順(じゆん)さ(下卦巽)と柔順さ(上卦坤)を具えた升の時において、剛健中庸の賢臣九二が、柔順中庸の天子(トップ)六五に応じている。
 その上、升は「時機(巽の木が坤の地から養分を得て升る時)」と「道德(巽順と柔順)」と「応援(六五と九二が正しく応じている)」の三德が揃っているので、何事もすらすら通る。六五の天子(トップ)と九二の大人は巽順と柔順の德を以て相(あい)見(まみ)え(面会す)るので、何も心配することはない。六五と九二が相(あい)見(まみ)える慶びが天下萬民の慶びとなるのである。
 共に下卦巽(東南)から離(南)を経て上卦坤(西南)に進み行けば幸運を招き寄せる。或いは共に離(文王八卦で南の方角)の明るい方面に進み行けば幸運を招き寄せる。九二と六五の志が時を得て実現し、升の道が完成するのである。

《大象伝》
象曰、地中生木升。君子以順德、積小以高大。
○象に曰く、地の中に木を生ずるは升なり。君子以(もつ)て德に順(したが)ひ、小を積(つ)みて以て高(こう)大(だい)なり。
 大象伝は次のように言っている。地(坤)の中(下)にある木(巽)が、「時機(巽の木が坤の地から養分を得て升る時)」と「道德(巽順と柔順)」と「応援(六五と九二が正しく応じている)」の三德を得て、漸(ぜん)次(じ)に成長するのが升の形である。君子はこの形に見習って、人の道(道德)に順い、知識の習得や習慣の継続など小事を積み上げ、人間として漸次に成長して、君子に相応(ふさわ)しい高(こう)大(だい)なる德(仁)を磨くのである。

地風升初六(地天泰初九の之卦・爻辞)

《爻辞》
初六。允升。大吉。
○初六。允(まこと)に升(のぼ)る。大(だい)吉(きつ)。
 初六は柔弱不中正で六四とは応じないが、下卦巽の主爻(升の成卦主)なので、巽順の德を具えており升(のぼ)る時を得ている。また剛健にして中庸の德を具えている九二の賢人と比するので、九二と一緒に升り進んで六五の天子(トップ)に通じる。上卦坤(地)と下卦巽(木)で成る形において、初六は根、九二と九三は幹である。初六は九二と九三と共に上卦坤から養分を吸収してぐんぐん成長していく。
 すなわち、初六は「時機(巽の木が坤の地から養分を得て升る時)」と「道德(巽順と柔順)」と「応援(六五と九二が正しく応じている)」の三德が揃っているので、九二・九三から信頼され、ぐんぐん升り進んで行く。それゆえ、大いに幸運を招き寄せる。

《小象伝》
象曰、允升、大吉、上合志也。
○象に曰く、允(まこと)に升(のぼ)る。大(だい)吉(きつ)とは、上(かみ)、志を合(あ)はする也。
 小象伝は次のように言っている。初六は九二と九三と共に上卦坤から養分を吸収してぐんぐん升り進んで行き、大いに幸運を招き寄せる。初六(木の根)と九二と九三(幹)が志を同じくして、六五の天子(トップ)の下(もと)に升(のぼ)り進んで行くからである。

                              (四季と易経 その十五)
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