十二 天(てん)地(ち)否(ひ) ||| ・・・ 萬事行き詰まる
自由に(十二)ならない「天(てん)地(ち)否(ひ)」 五三風山漸
※上下・親子・男女などの人間関係、仕事など全てが閉塞する時である。
陰陽(あらゆる上下と陰陽の関係が)交わらないので閉塞・逼迫するのである。
小人(凡庸な人)が跋(ばつ)扈(こ)して要職を占め君子(立派な人)は閑職に追い詰められる。
上下関係・親子関係・男女関係など、あらゆる人間関係が閉塞して社会が乱れる時。
陰陽よく交わらないので閉塞・逼迫する。豊かな心を養うことが求められる。
君子は才能と人徳を包み隠して愚人を装い、小人の誘惑から遁(のが)れるべきである。
君子は志を実現できない時。表舞台から退いて、正しい道を守ることが肝要である。
「和合できない」「正しい事が通らない」「してはならないことをしてしまう」「生活に苦労する」「仕事に苦労する」時である。
今は衰運にじっと耐えて、強固な志を磨き上げるべきである。
〇君子が志を実現できない時。才能を隠して表舞台から退き、正しい道を守ることが肝要である。 ○物事が大きく塞がり(閉塞し)衰運甚だしい時。慎むべきである。
○万事閉塞状態に陥って、どうにもこうにもならない。
○陰陽消長の循環の中で陰が長じて小人が跋扈する時。
○人として、してはならないことをしてしまう。
○生活に苦労する。生活が困難になる時。○万事閉塞して、志を失いかねない時。
○商人にとっては、売買共に損失を出す時。
○いくら苦労しても、衰運の時ゆえ安心できない。呼吸ができないような苦労をする。
○内面は善からぬ状況なのに、外面は善き人物を取り繕っている。
○小人が跋扈して、君子が困窮する。 ○小人が徒党を組んで国家を混乱に陥れる。
○和合できない時、親睦できない時。 ○家族の円満や組織の調和が維持できない。
○物事が成就しない。 ○損失が発生する。 ○何か善からぬモノが迫ってくる。
① 天地否初爻 |||・・・ 之卦天雷无妄 |||・・|
あなたは仲間②と共に悪事(善からぬ事)を企画する。改心すれば救われる。
悪の世界に引き入れられかねない時。よく本業を守り道徳を大切にする君子(立派な人)と付き合い(或(ある)いは、善き古典を学び)、悪に靡(なび)きかねない心を改めれば吉運を招き寄せる。私利私欲に囚われれば悪の道に進んでしまう。
〇善からぬ集団(悪党)に引き入れられかねない時。本業を守り、道德を大切にする君子と付き合い、共に目上の尊敬できる人の命令に従って物事を行なえば、吉運を招き寄せる。
○あなたが小人ならば、あなたに相応しい小人が集まってグループ(悪党)を作り、ろくでもないことをやり続ける。君子は呆れて、あなた方小人から遠ざかり、今は世に埋もれている理想的な人物を恋い慕う。
○私利私欲に囚われた小人が、善き人物を装って、ありもしない権威をひけらかして大衆を騙し、こっそりと悪事を行なおうとする時。
② 天地否二爻 |||・・・ 之卦天水訟 |||・|・
悪玉の親分⑤に重用されて地位を得る。あなたが小人・凡夫ならば悪に染まって悪の華を咲かせる。あなたが君子(立派な人)ならば、誘惑を振り切って時が至るのを待つ。
私利私欲を捨てるべき時である。
〇あなたが小人ならば、目上の人(これもまた小人)から寵愛されて社会的地位を得られる。自分の内心は包み隠して、上位の人に媚び諂って寵愛されることを云う。相手の妖しい要請を受け容れて、相手に懐柔されることも「包(ほう)承(しよう)」である。さらに、相手から妖しい贈り物が届き、それを妖しいと知りながら、ついつい受け取ってしまう。占う人は、以上の事をよく知った上で、易占の解釈をしなければならない。型通りに占ってはならない。
○②が出たら、あなたが小人ならば吉運である。あなたが立派な人物、すなわち大人であれば吉運とはならない。小人に良心を売って私利私欲を満たすのは、本末転倒。そういうことは厳に慎まなければならない。そうでなければ、災いを招き寄せる。
○小人が賄賂を使って、悪事をたくらむ時。
○小人が悪しき智恵を働かせて、愚かな大衆を騙す時。
○小人(凡庸な人)の集まりである政府の愚策を、君子(立派な人)が静観している時。○小人(凡庸な人)が私利私欲を貪る時である。
③ 天地否三爻 |||・・・ 之卦天山遯 ||||・・
あなたは才能低く人徳卑しいくせに妄進(何も考えずに前進)する小人(愚かな人)。
あなたは悪玉親分の側近④(社会的な害悪・害悪な制度の例え)に取り入って、邪心を隠している。よくよく反省して改心・改善すべきである。
〇この爻が出たら、善人をやっつけようとするか、または、悪い(不善な)事をして、そのことを隠しているか、あるいは、小人(悪党)の親玉となって、悪事を企てているか、はたまた、悪人を制御するようなふりをしながら、私利私欲を満たそうとしているか、いずれにしても、ろくな者ではない。凶運。改心するべきである。
○悪事(善からぬ事)を進める時である。 ○自分の罪悪を覆い隠そうとする。
○小人(悪党)が時間を持て余して悪事を働く時。君子がこの有様を見れば、どんなに取り繕ったところで、すぐばれる。
○小人(悪党)は善き事を積み上げることができないから、願いを叶えられない。
④ 天地否四爻 |||・・・ 之卦風地観 ||・・・・
閉塞の時も半ばを過ぎて、やがて泰平に移行する兆し(新しい時代や社会のイメージ)が見える。
時が至れ(新しい時代や社会のイメージが見えれ)ば君子の志が芽生える。
あなたは悪玉親分⑤の側近である。閉塞の時も半ばを過ぎて、泰平の時に移行する兆し(新しい時代や社会のイメージ)が見える。悪玉親分⑤が(新しい時代や社会のイメージを見て)小人から君子へ改心したら、あなたも改心して君子を目指すようになる。徐々に盛運に向かって行く。
〇目上の賢い人に従って、事を為すべきである。徐々に盛運に向かって行く時である。
○偶然に朋友となる人と出会い、お互いに志を成し遂げて喜び合う。
○小人あるいは悪党(盗賊)に攻撃される時でもある。
⑤ 天地否五爻 |||・・・ 之卦火地晋 |・|・・・
泰平が近付いたが閉塞の時は終焉していない。油断せずに戒慎せよ。
閉塞の時がピークに達し、閉塞状態を打破する段階に突入した。油断せずに戒慎し、努力を積み上げれば、やがて運気が開けていく。大人(君子よりも立派な人)を見倣(なら)って小人(凡人)の妨害を徐々に突破していくべきである。
〇心身共に閉塞する天地否時のピークに至った。その状態から抜け出すために奮い立ち、閉塞状態を打破し、運気を挽回していく時である。よく大人(君子よりも立派な人)を見倣って、大きな事業を成就させなければならない。勤勉ならば、必ず成し遂げられる。
○よく慎んで、否の閉塞する運氣を跳ね返すべきである。
○小人(凡人)が立ち塞がって妨害するのを、徐々に跳ね返して、自分の地位を確保する。
○油断や怠りがあると、閉塞状態を脱することはできない。さらに危ない状態に陥って、歯ぎしりして後悔することになる。
○よく忍耐して、努力を積み上げれば、やがては運氣が開けていく。
⑥ 天地否上爻 |||・・・ 之卦澤地萃 ・||・・・
閉塞の時は終焉しようとしている。やがて泰平が到来する。
これまでには見られなかった新しい時代へ向けての動きが始まる時である。
〇過去の善からぬ事を反省し、善い事を積み上げれば、勉強することが段々好きになり、徐々に運氣が回復、万事通じるようになる。
○これまでは運氣が閉塞して、心から楽しむことができなかったが、運氣が好転し、これまでには考えられなかったような喜ばしいことに巡り逢う時である。
○否の時が終焉して、好運に向かって行く。
○久しく行き詰まっていた事が解決して、喜びが訪れる時。