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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 雷沢帰妹 一

五十四 雷沢帰妹 ・・| ・||

歸妹、征凶。无攸利。
□帰(き)妹(まい)は、征(ゆ)けば凶。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。
 帰妹は震の長男が動き兌の少女が悦(よろこ)ぶ形。悦んで動く女は「はしたない」。女が男に媚(こ)び悦んで結婚を迫り、臣下が君主に媚び諂(へつら)って昇進を望む。人の道に反するので失敗する。よいことは何一つない。
彖曰、歸妹、天地之大義也。天地不交而萬物不興。歸妹、人之終始也。説以動。所歸妹也。征凶、位不當也。无攸利、柔乗剛也。
□帰妹は天地の大義也。天地、交(まじ)はらざれば、万物興(おこ)らず。帰妹は人の終始也。説(よろこ)びて以て動く。帰(とつ)ぐ所は妹(まい)也。征(ゆ)けば凶なるは、位(くらい)、当らざれば也。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)きは、柔、剛に乗ずれば也。
 年頃の娘が嫁ぐことは天地の大義に適っている。天地(陰陽)が交わらなければ、萬物は生々発展しない。嫁げば娘としての人生は終わり、妻としての人生が始まる。夫婦が交わり子が産まれ、新しい生命が始まる。やがて夫婦は年老いて、子供達に引き継がれる。年頃の娘が嫁ぐことは天地の大義に適っている。
 女が男に媚び悦んで結婚を迫り、臣下が君主に媚び諂って昇進を望む。人の道に反するから失敗する。二爻から五爻まで全て不正ゆえ、人の道に反する。よいことは何一つない。柔順な六五と六三が剛健な九四と九二の上に乗っている。女が男を凌(しの)いで蔑(ないがし)ろにし、臣下が君主を凌(しの)いで蔑(ないがし)ろにしているのである。
象曰、澤上有雷歸妹。君子以永終知敝。
□沢の上に雷(かみなり)有るは帰妹なり。君子以て終りを永くし敝(へい)を知る。
 沢(兌)の上に雷(震)が有るのが帰妹の形。沢の上で雷が轟けば沢の水が震え動き、長男が動けば少女は悦んで我を忘れる。雷が治まれば沢の水の震えも治まり、長男の動きが治まれば少女も我を取り戻す。
 君子は一時の感情に惑わされることの弊害を知り、何事も幾(いく)久(ひさ)しく継続させる。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)事正シカラズシテ、弊害從テ起ルノ時トス、故ニ情慾ニ從ヒテ、志ヲ動カス可ラズ、小人ニ權柄ヲ執ラシム可ラズ、震ノ修省ヲ以テ、兌ノ毀折ヲ防グベキノ時ナリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)為す事が正しくないので、弊害が発生する時。それゆえ、感情に任せて野心を起こしてはならない。
○小人に権力を握らせてはならない。小人の動きに警戒して、被害を蒙らないように防止策を講じるべきである。
○何事も慎み深く始めて、終わりを考慮して弊害を予防すべきである。以上を怠ると、危険な事態を招き寄せることになる。
○夫婦が不和になる時。 ○私利私欲に囚われやすい時。
○妾を囲う(一義的な事よりも二義的な事)にはよい時である。
○男女関係が乱れる(守られるべき規則を守らない)時である。
○何事も目先は良好だが、最後は凶運を招き寄せる。
○相手に何かを勧誘しても、相手は拒んで逃げ去ろうとする。
○喜んで動いて不正を犯しかねない。仲間割れや謀反行為があり、何事も調和できない時である。
○やる事、為す事、最後の最後には失敗する。
○物価は始め下がって、その後は上昇する。
○売買行為は勘違いによる間違いが起こる。

帰妹 初九 ・・| ・||

初九。歸妹以娣。跛履能。征吉。
□初九。妹(いもうと)を帰(とつ)がするに娣(てい)を以てす。跛(あしなえ)能(よ)く履(ふ)む。征(ゆ)きて吉。
 初九は九四の正妻にはなれない。親戚の年若き娘がお嫁に行くときに妾(めかけ)として一緒に付いて行く。足が不自由な人のように能力を発揮できない。妾としての立場を弁(わきま)えて、役割を果たせば幸を得る。
象曰、歸妹以娣、以恆也。跛能履吉、相承也。
□妹(いもうと)を帰(とつ)がするに娣(てい)を以てすとは、以て恒(つね)ある也。跛(あしなえ)能(よ)く履(ふ)む吉とは、相(あい)承(う)くる也。
 妾として付いて行く。役割を果たし、恒の道を貫くのである。役割を果たせば幸を得る、正妻をよく助け、主君の命令に柔順に従うのである。

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