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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 火風鼎 二

鼎 九三 |・| ||・

九三。鼎耳革。其行塞。雉膏不食。方雨虧悔。終吉。
□九三。鼎(かなえ)の耳革(あらた)まる。其(その)行(こう)塞(ふさ)がる。雉(きじ)の膏(こう)、食(くら)はれず。方(ほう)に雨ふれば悔いを虧(か)く。終(つい)に吉。
鼎の中の料理が薪を入れ過ぎて煮立ってしまった。鼎の耳は手で持てないほど熱くなり、美味しい料理を活用する道が塞がれた。
美味しい雉(きじ)の脂(あぶら)肉を誰も食べられない。過剛を改め、陰陽調和させ、雨が降るように行いを慎めば、後悔も少なくなり、終には幸を得る。
象曰、鼎耳革、失其義也。
□鼎(かなえ)の耳革(あらた)まるとは、其(その)義を失ふ也。
 鼎の耳が手で持てないほど熱くなった。慎むことを忘れ、政治の大義を失ったのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)信義アリナガラ、樸直ナルガ故ニ、世ニ用ヰラレザル者トス、又短氣ニシテ立腹スルトキハ、本心ヲ失ヒ、人ノ諫ヲ用ヰザルノ失アリ、愼ムベシ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)信義があるが、愚直で世に用いられない。それに腹を立てれば、本来の愚直さを忘れて、叱責される。グッと我慢して慎むべき時である。
○世渡りが下手なので、功を上げても人に遅れをとる。しかし、正直なので、周りの人から愛されて、最後には幸福を得る。
○もう一寸で美味しい料理となる段階。もう一寸時間をかけて美味しくなるのを待っていれば、終には吉運を得る時である。
○争う心があれば、事を成し遂げるのが遅れる。
○やり過ぎたり、挫折したりして、積み上げてきた事をひっくり返してしまうような災害を招き寄せる時である。
○心から自分を正すことができなければ、必ず正義を失う。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)明治二十年、春、某貴顕ニ見ユ、談偶々某君ノ事ニ及ブ、(中略)貴顕諸公ノ身上ヲ占フヲ以テ常トス、故ニ之ヲ知レリ、某君ハ當年鼎の第三爻ニ當レリ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。
(占例)明治二十年、ある貴人と話していたところ、ある人物の話に及んだ。わたしが、彼(ある人物)は今年は活躍するだろうと云うと、貴人は、どうしてそんなことがわかるのかと聞いた。わたしは、冬至占で彼の運氣を占ったところ鼎の三爻を得たからだと答えた。
 鼎の彖伝に「鼎(てい)は象(しよう)也。木を以て火に巽(い)れ、亨(ほう)飪(じん)する也。 聖人、亨(ほう)して以て上(じよう)帝(てい)を享(まつ)り、而(しか)して大(たい)亨(おう)して以て聖賢を養ふ。巽にして耳目聡明、柔進みて上(のぼ)り行き、中を得て剛に応ず。是を以て元(おおい)に亨る。鼎(てい)の形は偉大な宝器「鼎(かなえ)」にそっくりである。鼎は木(巽)を火(離)の中に入れ、食物をほどよい塩(あん)梅(ばい)に煮炊きするために用いる器。聖人は、鼎を用いて食物を煮炊きして、天の神様にお供えして祭るだけでなく、より多くの食物を煮炊きし、天下の聖賢を集めて饗(きよう)応(おう)する」とある。
 鼎は宝の器であり、食べ物を煮炊きするのに用いるため、山海の美食を集め生ものを煮炊きして、神仏をお祭りする際に供える。お祭りが終わると、お殿様や家臣が召し上がる。
鼎は重量のある宝の器だから容易に動かせない。安置する場所を選んでから、食べ物を煮炊きするのに用いる。鼎が食べ物がある所に移動するのではない。
 社会に当て嵌めると、鼎は政府である。位正しく動かすことはできない。社会の秩序を整えるために、政府は存在する。お祭りはお殿様が神仏にお仕えすることであり、政治は政府が民衆にお仕えすることである。名君は神仏のご加護を得て、万物を造化発育させ、天下万民に恩恵を施すので、天下国家は調和する。これは鼎が美味しい料理を煮炊きするのと同じである。鼎の器の中に賢臣を養育して天下国家を調和させるのである。

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