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期間限定「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 水地比

八 水地比 ・|・ ・・・

比、吉。原筮、元永貞、无咎。不寧方來。後夫凶。
□比は吉。原(げん)筮(ぜい)して、元(げん)永(えい)貞(てい)なれば、咎无なし。寧(やす)んぜずして方(あまね)く来(きた)る。後(おく)るる夫(ふ)は凶。
 比は親しみ和合する時。共存共栄する。親しむべき相手を推(お)し量(はか)り、占筮するように人の意見を素直に聞き、元(仁)永(恒)貞(正)の德を備えていれば過ちは犯さない。不安を抱く人々が九五の下(もと)に集まって来る。
 和合できない人は駄目である。
彖曰、比吉也。比輔也。下順從也。原筮、元永貞、无咎、以剛中也。不寧方來、上下應也。後夫凶、其道窮也。
□比は吉なり。比は輔(たす)くるなり。下(した)順從する也。原筮して元永貞なれば、咎无しとは、剛中なるを以てなり。寧(やす)んぜずして方(あまね)く来(きた)るとは、上下応ずるなり。後(おく)るる夫(ふ)は凶とは、其の道窮まればなり。
 比は親しみ和合するから共存共栄する。比は天子と臣民が助け合う。九五の天子に臣民が素直に従い和合する。親しむべき相手を推し量り、占筮するように人の意見を素直に聞き、元(仁)永(恒)貞(正)の德を備えていれば過ちは犯さない。九五が剛中備えて私欲なく(元)、健にして息まず(永)、正固にして偏らない(貞)からである。不安を抱く人々が集まって来る。九五が普(あまね)く親しむ道を衆陰に施すからである。和合できない人は駄目である。人々から疎外され終に困窮するのである。
象曰、地上有水比。先王以建萬國親諸侯。
□地上に水有るは比なり。先王以て万國を建て諸侯を親しむ。
 大地(坤)の上に水(坎)が有り、間隙ない潤いによって万物を生成するのが比の形。
 昔の王は、功德ある臣下を各地に分封し、大地と水が万物を生成する如く、諸侯臣民を養育したのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此爻ヲ得ルトキハ、人ト親ミテ共ニ事ヲ爲スニ吉ナリ、獨立シテ事ヲ爲スベカラズ、又己レ貞實ニシテ勉強スルトキハ、衆人ノ加勢ヲ得テ望ム所ノ大業ヲ容易ニ遂ゲ得ルノ時トス、一タビ人ト親マズ、其人ヲ容レテ生涯親ヲ失フベカラズ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)この卦が出たら、人と親しんで共に事を為せば吉。一人で事を為そうとしてはならない。正しく篤実で勉強に励めば、大勢の人が参加してくれて、希望している大きな事業を容易に成し遂げられる。
人と親しむことを忘れて、信用を失ってはならない。
○大体の事は、高貴で老成の人に仕えて、企画実行するが宜しい。
○自分が相手に順えば、相手は自分を信用する。
○大体の事は順調に行なわれるが、賢臣が不在なので、組織内が調和しないことがある。
○先手を打てばうまくいくが、遅れると凶運を招く。
○助ける、親しむ、和らぐ時。
○願望が実現する時。
○出て行って行動すれば、多くの人々から親しまれる。
○物価は下がる。

比 初六 ・|・ ・・・

初六。有孚比之。无咎。有孚盈缶。終來有它吉。
□初六。孚有りて之に比す。咎无し。孚有りて缶(ほとぎ)に盈(み)つ。終に來りて它(た)の吉有り。
 誠実さに満ち溢れて人々と親しむ。それゆえ過失を免れる。その真心は質素な器に酒が溢れ出るようだ。やがて天子からご褒美を賜る。
象曰、比之初六、有它吉也。
□比の初六は、它(た)の吉有るなり。
 誠実さに満ち溢れて人々と親しむから、ご褒美を賜るのである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)此爻ヲ得ルトキハ、憤發心ヲ起シテ知ラザル土地ニ行クノ象アリ、而シテ其地ニ於テ知己ノ人ナシト雖モ、孚ヲ盡シ誠ヲ竭シ勉強スルトキハ、人之ヲ信シテ終ニ大幸福ヲ得ルノ占トス、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)発憤する心が芽生えて、知らない土地に出かけて行く。知っている人はいないが、至誠の心で勉強する。周りの人から信用されて、大きな幸福を得る。人を愛し、敬することを肝要とし、親切にして、苦労が報われなくても愚痴を言わず、人のために尽くす。多くの人から愛されて、生涯の立身出世と幸福の土台を築くことができる。
○万事心配しなくて宜しい。予兆なく(急に)吉運を招く。
○ある事が充実していれば、他の事も吉運を招く。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の原文の一部。
(占例)某氏ノ子、永ク英国ニ留學シ、歸朝ノ後職ヲ某省ニ奉ズ、一日來リテ身上ヲ占ハンコトヲ請フ、乃チ筮シテ比ノ初爻ヲ得タリ・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占例の現代語訳。

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