初六 ‥―‥ ――‥ (水風井) 之卦 五水天需
初六。井泥不食。舊井无禽。
○初六。井(せい)泥(にご)りて食(くら)はれず。舊(きゆう)井(せい)、禽(とり)无(な)し。
初六は柔弱不中正(陰爻陽位)で最下に居り六四とは陰爻同士で応じない。枯れ井戸の底の泥水のように誰にも飲んでもらえない(役に立たない)存在である。底に泥水しかない枯れ井戸は、井戸としての役割を果たさないので、鳥すら寄ってこないのである。
象曰、井泥不食、下也。舊井无禽、時舍也。
○象に曰く、井(せい)泥(にご)りて食(くら)はれずとは、下(しも)なれば也。舊(きゆう)井(せい)、禽(とり)无(な)しとは、時舍(す)つる也(なり)。
小象伝は次のように言っている。初六は枯れ井戸の底の泥水のように誰にも飲んでもらえない。井戸の最下(井戸の底)の泥水だからである。底に泥水しかない枯れ井戸は、井戸としての役割を果たさないので、鳥すら寄ってこない。遷(せん)都(と)で時世(時・処・位)から見捨てられて、村人が村落から去ってしまったからである。
【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇自分が人德を具えていても、運氣衰え、世間に埋もれ、能力を発揮できない。大衆に見捨てられる時。
○不遇な状況に陥っている。信念を貫いて陰徳を積めば、偶然に昔の知り合いに出逢う。それがきっかけとなって、世に出られる。
○井戸の下に埋もれている泥水のように、人の心が濁る時。
○世間でよく云われる「食えぬ奴」が跋扈する時。
○才能不足で支援なく、何事も成就できない。運氣に見放された時。
○何かに陥り困窮して苦しむ時。
以下省略。次の書籍をご覧ください。