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天命に生きる日本の教え 渡辺京二著「逝きし世の面影」に学ぶ

一八七五(明治八)年、フランス海軍士官デュパールは大阪から伏見まで船に乗った。小型のスティームボートで機関の具合が悪いらしく、そのうち船体が真っぷたつに折れそうなすさまじい音が続いた。最後に大音響がとどろき、船体はぞっとするほど揺れたが、その拍子に故障が直ったらしく、あとは順調に船は進んだ。「この騒ぎのあいだ、私は同行者たちの様子をずっと観察していた。とくにご婦人や娘さんの表情には注意を怠らなかったが、彼女らは眉ひとつ動かさなかった。フランスの女性ならこんなとき、現実、非現実を問わず、どんなに些細な危険にも、かならず不快で有害な金切り声を上げるものだが、同乗した日本女性の小さな口からは、ついに一言もその種の声は洩れなかった」。(P568)
(デュパール「おはなさんの恋」有隣堂・一九九一年)

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