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明治十九年出版 高島易断 現代語訳(一部掲載)

象曰、地勢坤。君子以厚德載物。
□象に曰く、地(ち)勢(せい)は坤(こん)なり。君子以(もつ)て德を厚くし物を載(の)す。

上卦下卦とも坤(全て陰爻)ゆえ、乾(全て陽爻)から一番遠くにあり、陰を窮めている。これは大地の状態を表している。それゆえ重坤とは言わずに地勢と言う。その勢いは至って順い至って厚いので載せられないところはないという意味で地勢と言うのである。坤の君子は地勢に法って萬民を上に載せて負う責任がある。徳が厚くなければ堪えられないことである。それゆえ、度量を大きくして水を溢れんばかりに貯える澤のような利益を全うして、仁の徳によって萬民を育て、義の徳によって萬民を正す。
以上のようにして大地と徳と功を同じくする。「物を載(の)す」とは、大地に存在する萬物を悉(ことごと)く載せて、政治と教育を普く普及させ恩澤を遍く施すので、仁(思いやり)の政治の始めに至り、その責任を尽くすことに至る。以上を坤の君子の厚い徳と言う。
また人の存在に「賢愚」「貧富」「強弱」の区別があり、他にも「高下」「肥痩」「燥湿」の差などがある。それゆえ、「好悪」や「愛憎」を挟まず、人類皆兄弟の大義を体現して仁義道徳を全うする。これが「德を厚くし物を載(の)す」の本旨であり、坤道順厚の精神である。

 以上で、彖伝と大象伝を解釈した。ここからは文言伝によって坤徳の所以を説明する。

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