人倫礼有れば 朝廷必ず法有り
人にして礼無き者は 衆(しゆ)中(ちゆう)又(また)過(とが)有り
日本社会の人間関係は礼儀作法で保たれているように、萬世一系の天皇陛下がおられる朝廷には古より厳格な礼儀作法が規則として定められているから、調和が保たれている(人倫礼有れば、朝廷必ず法あり)。
(社会を調和させる)礼儀作法を知らない人は、普段の人間関係においても調和を乱して間違いを犯しがちである。
聖徳太子の十七条憲法に「和を以て貴しとなす」ある。和とは調和の和である。
中庸には「喜怒哀楽の未だ発せざる之を中と謂う。発して皆な節に中る之を和と謂う。中なる者は天下の大(たい)本(ほん)なり。和なる者は天下の達道なり。中和を致して天地位し萬物育す」とある。和なる者(調和)は天下泰平を達する要(かなめ)なのである。
嘗(かつ)ての日本人は「天命に生きる」人生を歩んでいた。「実語教」や「童子教」など、古くから伝わる日本の教えを學んだからである。今の日本人は古くから伝わる日本の教えを學ばなくなってしまった。そろそろ、日本の教えを取り戻さないと、日本が日本でなくなってしまう。そんな思いで本書を書いた。
実語教では「天命」のことを「天地」といい、それは「父母」と「孝」、あるいは「師君」と「仕」の相互作用で成り立つ。そのことを「父母は天地の如く、師君は日月の如し。(中略)父母には朝夕に孝せよ。師君には昼夜に仕えよ」と書いてある。
童子教では「天命」のことを「仏」といい、それは「仏道を求む」と「仏道を成ず」の相互作用で成り立つ。そのことを「(前略)花を折って仏に供する輩(ともがら)は 速やかに蓮(れん)台(だい)の趺(はなぶさ)を結ぶ。上は須(すべから)く仏道を求むべし 中(なか)ばは四(し)恩(おん)を報ずべし。下(しも)は徧(あまね)く六(ろく)道(どう)に及ぶ 共に仏道を成(じよう)ずべし」と書いてある。
実語教と童子教が普及したのは、江戸時代に寺子屋のテキストとして用いられたからである。実語教は平安時代の終わり頃に成立したと言われ、明治時代になっても読まれていたという。何と千年近く子供たちのテキストとして読まれ続けてきたのだ。童子教は鎌倉時代の終わり頃に成立したと言われている。いずれにしても、長い期間にわたって子供たちは「実語教」と「童子教」を読んで人格を形成した。
今の「自分のために生きる」日本人に、是非、「実語教」と「童子教」を読んでいただき、「天命を生きる」人生を歩んでほしいと思う。

