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天命に生きる 実語教 童子教 の教え(一部掲載)

 倉の内の財は朽つること有り。身の内の才は朽つること無し。
 千両の金を積むといえども、一日の學にはしかず。

 蔵に蓄えた(倉の内の)財産(預貯金や株式などの金融資産・高額な美術工芸品・投資で購入した不動産等)は売ったり使ったりすれば何の価値も無く(朽つること有り)なる(手元には何も残らない)。
 あなたが身に付けた見識(信念)や胆識(リーダーシップ)は世の中で使えば使うほどさらに磨かれていく。もし、あなたが億万長者になったとしても(千両の金を積むといえども)、毎日努力して身に付けた見識や胆識を手に入れることはできない(一日の學にはしかず)。論語に曰く、吾れ嘗て終日食らわず、終夜寝ねず、以て思う。益なし。学ぶに如かざるなり。論語に書いてある。一日中食べず眠らずで考えてみたが何も思い浮かばなかった。だからわたしは思う。人間にとって学ぶことが一番大事だ。


嘗(かつ)ての日本人は「天命に生きる」人生を歩んでいた。「実語教」や「童子教」など、古くから伝わる日本の教えを學んだからである。今の日本人は古くから伝わる日本の教えを學ばなくなってしまった。そろそろ、日本の教えを取り戻さないと、日本が日本でなくなってしまう。そんな思いで本書を書いた。

実語教では「天命」のことを「天地」といい、それは「父母」と「孝」、あるいは「師君」と「仕」の相互作用で成り立つ。そのことを「父母は天地の如く、師君は日月の如し。(中略)父母には朝夕に孝せよ。師君には昼夜に仕えよ」と書いてある。

童子教では「天命」のことを「仏」といい、それは「仏道を求む」と「仏道を成ず」の相互作用で成り立つ。そのことを「(前略)花を折って仏に供する輩(ともがら)は 速やかに蓮(れん)台(だい)の趺(はなぶさ)を結ぶ。上は須(すべから)く仏道を求むべし 中(なか)ばは四(し)恩(おん)を報ずべし。下(しも)は徧(あまね)く六(ろく)道(どう)に及ぶ 共に仏道を成(じよう)ずべし」と書いてある。

実語教と童子教が普及したのは、江戸時代に寺子屋のテキストとして用いられたからである。実語教は平安時代の終わり頃に成立したと言われ、明治時代になっても読まれていたという。何と千年近く子供たちのテキストとして読まれ続けてきたのだ。童子教は鎌倉時代の終わり頃に成立したと言われている。いずれにしても、長い期間にわたって子供たちは「実語教」と「童子教」を読んで人格を形成した。

今の「自分のために生きる」日本人に、是非、「実語教」と「童子教」を読んでいただき、「天命を生きる」人生を歩んでほしいと思う。

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