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易経(周易)を読み解く 百十七(地火明夷 初二三)

初九 ‥‥‥ ―‥― (地火明夷)之卦 十五地山謙

初九。明夷。于飛垂其翼。君子于行、三日不食。有攸往。主人有言。
○初九。明(めい)夷(やぶ)る。于(ゆ)き飛び、其(そ)の翼(つばさ)を垂(た)る。君子于(ゆ)き行(ゆ)きて三日食わず。往(ゆ)く攸(ところ)有り。主人言有り。
 陽爻陽位で正位の初九は明いものが夷(やぶ)れる(傷付けられる)時の最下に居り、明智明德(下卦離)で危機を察し、翼(つばさ)を垂(た)らして低空を飛ぶように立ち去ろうとする。剛健(陽爻陽位)の君子初九は、三日間、食事を取る時間も惜しんで急いで立ち去る。
 世間にはまだ危機が到来していない(目に見えていない)ので、俗(ぞく)人(じん)は怪しく思い、宿の主人からは、君子にあるまじき行為だと非難される。
象曰、君子于行、義不食也。
○象に曰く、君子于(ゆ)き行(ゆ)くとは、義、食わざる也。
 小象伝は次のように言っている。剛健(陽爻陽位)の君子初九は、三日間、食事を取る時間も惜しんで急いで立ち去る。明いものが夷(やぶ)れる(傷付けられる)暗黒の時に、暗(あん)君(くん)の下(もと)で禄(ろく)を食(は)んでいる(暗君に仕えているのは)のは、義(大義・正義)に悖(もと)るからである。
※この爻は、伯(はく)夷(い)・叔(しゆく)斉(せい)、太(たい)公(こう)望(ぼう)などに例えられる。伯(はく)夷(い)・叔(しゆく)斉(せい)は殷王朝の時代における小国の皇子であったが、自国の後継争いを避けるため、周の文王の下に身を寄せていた。文王の死後、武王が後を継いで紂王を討伐したことを非難し、周から逃れて隠遁した後に餓死した。太(たい)公(こう)望(ぼう)は世を逃れて釣りをしていたところを周の文王に軍師として招かれ、文王の後継者武王に仕えて殷の紂王を討伐した。その功績により斉の国に封じられた。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇運氣は衰えており、智恵を絞っても打開できない。万策尽きて、お手上げの時である。進み行こうとすれば、何者かに妨害され、最後は権力で潰される。また、進み行く先には困難が待ち構えている。
○目上の人の善からぬ言葉によって、困難に陥る時である。
○万事において、時運衰退の時である。絶対に新しい事業に取り組んではならない。現状維持すら難しい。
○内側は明るいが、外側が暗い。内側には才能があっても、外側では通じない時であることを、よく認識しておくべきである。
○不測の災難に遭遇して、とんでもない苦労を背負う時。

以下省略。次の書籍をご覧ください。

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