初六 ‥―― ――‥ (澤風大過) 之卦 四三澤天夬
初六。藉用白茅。无咎。
○初六。藉(し)くに白(はく)茅(ぼう)を用(もち)う。咎(とが)无(な)し。
初六は柔順(陰)にして巽順(下卦巽の主)なので、人を敬い自分を慎む心が厚い。まるで、潔白な茅(ちがや)を祭器の下に敷くように常に恐(きよう)懼(く)戒(かい)慎(しん)している。それゆえ、倒壊の危機にある大過の時の最下に居て、咎(とが)を免れるのである。(公田連太郎「易経講話二」によると、大過は、陽爻陽位は陽に過ぎ、陰爻陰位は陰に過ぎるから善しとせずに、陽爻陰位と陰爻陽位は程よく調和するから陰爻陽位の初六を善しとする。)
象曰、藉用白茅、柔在下也。
○象に曰く、藉(し)くに白(はく)茅(ぼう)を用(もち)うとは、柔、下(した)に在(あ)る也。
小象伝は次のように言っている。初六が常に恐懼戒慎しているのは、最(さい)下(か)の位(くらい)に居て、柔順(陰)にして巽順(下卦巽の主)ゆえ、人を敬い自分を慎む心が厚いからである。
【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇自分の心身は柔らかく、剛健の相手に立ち向かって行く。慎みと敬(うやま)いの心を忘れずに巽順であるべきである。大事なことを思い立つ時。蟻の穴は堤を破壊する力がある。必ず小さな事に心を配って過ちの無いように用心すべきである。人は謀(はかりごと)を好むが、成功するかどうかは天のみが知る。大事を成そうとする人は、必ず天地・神仏をお祭りして、そのご加護を得るべきである。
○人に捕らえられて自由に動くことができず、困窮して苦しむ。
○謙譲の心と畏れ慎む心を常に抱けば、問題は降りかかってこない。
○両(もろ)刃(は)の剣の形。血を見る象(かたち)もある。
以下省略。次の書籍をご覧ください。