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しらす神々

「しらす」統治のはじまり

 楽園に降臨した「にぎ」の神は、「しらす」統治を行うに中って、何からはじめたらよいかをブレーンである「いぃ」の神様に相談したところ、「いぃ」の神様は、「幾久しく楽園を『しらす』ために、一緒に歩んでくれるお嫁さんを見付けるべきでしょう」とアドバイスしてくれた。「いぃ」の神様はお付きの神々に命じて、楽園の中から「にぎ」の神に相応しい女神を二人連れてきた。
 一人は「このは」姫といい、とても美しかった。もう一人は「いわ」姫といい、お世辞にも美しいとは言えなかった。「にぎ」の神は、ひと目で「このは」姫のことを好きになり直ぐにでもお嫁さんにしたいと思った。もう一人の「いわ」姫のことは、あまり好きにはなれずにお嫁さんにはしたくないと思った。
 「いぃ」の神様は、「このは」姫は誰よりも美しくて聡明であり、「いわ」姫は誰よりも健康で長命なので二人とも娶って沢山のな御子を産みなさいと「にぎ」の神にアドバイスしたが、「にぎ」の神はどうしても「いわ」姫はお嫁さんにしたくないと言い張った。
 困った「いぃ」の神様は、「いわ」姫をお嫁さんにしないと、永遠の命を失って限られた寿命しか生きることができなくなりますよ。それでも、よいのですか?と確認したが、「にぎ」の神は、それでもよいから、「いわ」姫をお嫁さんにしたくないと頑として言い張るので、「このは」姫だけお嫁さんとして迎え入れ、「いわ」姫にはお帰り頂くことになった。「にぎ」の神のわがままで「いわ」姫には気の毒な思いをさせることになった。
 「しらす」とは、「相手のことをよく知り、相手の立場になって、相手のことを思いやる」ことだから、「いわ」姫に恥ずかしい思いをさせた「にぎ」の神は、一時的とはいえ「しらす」心を忘れてしまったのである。
 また、このことによって、「にぎ」の神とその子孫は永遠の命を失って、限られた寿命しか生きられなくなってしまった。
 「しらす」心を忘れてしまった「にぎ」の神は、お嫁さんに迎え入れた「このは」姫に対しても思いやりに欠けることをしでかした。
 「にぎ」の神は色々と忙しくて、「このは」姫と過ごす時間が取れず、お嫁さんに迎え入れたその夜に、御子創りに励んで以来、しばらく御子創りをしていなかった。ある日、「このは」姫は「にぎ」の神に「あなたの御子が宿りました」と嬉しそうに打ち明けたところ、あろうことか「にぎ」の神は、「一夜の交わりで御子が出来るはずがない。きっと浮気して出来た御子であろう」と罵(ののし)ったのである。理不尽なことを言われた「このは」姫は最初はとても悲しく思ったが、時が経つにつれて段々腹が立ってきた。そして、お腹の中の御子が「にぎ」の神の御子であることを証明して、ギャフンと言わせた上に謝罪してもらおうと、ひそかにと決意したのである。
 ある日、「このは」姫は、「にぎ」の神に置き手紙を残して家を出て行った。置き手紙には次のように書いてあった。以下省略。