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しらす神々

楽園の完成

 「おおくに」の神は、師匠の「うぅ」の神様と一緒に「無名」の社会創りをコツコツと進めていった。楽園は秩序のある幸福な社会に段々近付いて行った。しかし、ある時突然、「うぅ」の神様は誰にも何も言わずに、天上に帰ってしまった。
 「うぅ」の神様が居なくなってからは、「おおくに」の神は段々「無名」の社会創りをすることができなくなっていった。幸せそうだった楽園の人々から、少しずつ笑顔が消えていった。そして、文句や不平不満を言わないけれども、心の底から幸せそうにしている人々はいなくなった。
 「おおくに」の神は、師匠の「うぅ」の神様から教わった「自分の存在を消し去り無名に徹すること」ができなくなってしまったのだ。
 楽園の人々は「おおくに」の神がリーダーであることを知っている。だから、「おおくに」の神に逢うと、笑顔で接するし、「有り難う」と感謝する。「おおくに」の神は、まだ「うぅ」の神様の無我の境地に達していないので、感謝されると、ついつい驕り高ぶりの心が芽生えてしまい、それがチラッと態度に現れる。楽園の人々も段々それに気が付いて、笑顔が消えていった。驕り高ぶりの心は、その人が堕落するだけでなく、周りの人を嫌な気持ちにさせるのである。
 「おおくに」の神は、理屈では分かっているが、無我の境地を維持することができない。ふと気が付くと私心や邪心が芽生えてしまうのである。
 無我の境地を維持できない自分に対して失意の日々が続き、「おおくに」の神は「自分一人では無名の社会創りを完成させることはできそうもない。うぅの神様が戻ってきてくれないのなら、どなたか代わりの神様が来てくれないだろうか…」と、「うぅ」の神様がやってきた海辺を見つめて途方に暮れていた。
 その時、目の前に広がっている大海に光がサーッと射し込んで、神々しい光のような「あ」の神様がやってきた。「あ」の神様は、萬物の命を次々に産み出すために「命の根源的なエネルギー・命の泉」を無限に蓄えている神様である。
 「あ」の神様は次のように言った。以下省略。