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しらす神々

「ねの国」での修行

 「あま」の神に言い聞かせられて、「勇ましさ」を身に付けるために、「すさ」の神が潜んでいる「ねの国」にやってきた「おおくに」の神は、さっそく、「すさ」の神から「勇ましさ」を身に付けるための訓練を開始した。
 訓練を開始するに中って、「おおくに」の神に必要な「勇ましさ」は、これまで「すさ」の神が進めてきた農業の普及において活かされるものでなければならない。「すさ」の神は農業を普及するための基盤整備である治水事業を完成させたが、農地を開墾するなど、農業を普及するための取り組みは何も行っていない。
 そこで、「おおくに」の神は荒れ地の開墾から始めて、一定規模以上の農地を開拓していく必要がある。荒れ地を開墾するに中っては、人間や農産物に害悪を与える害虫や禽獣を除去することが求められる。
 以上のことから、「おおくに」の神が「勇ましさ」を身に付けるための特訓は、「害虫や禽獣を除去するための訓練」から始めることになった。害虫や禽獣を除去するためには、害虫や禽獣に怯(ひる)まない「勇ましい心」を身に付けなければならない。
 そこで、「すさ」の神は、沢山の害虫を集めた大きな部屋に「おおくに」の神を閉じ込めて、「おおくに」の神が自ら考え、工夫して、害虫を除去することができるか試した。
 突然、沢山の害虫を集めた大きな部屋に閉じ込められた「おおくに」の神は、最初は大いに戸惑ったが、やがて冷静になり、工夫して、害虫と共存する方法を身に付け、害虫を殺さずに、害虫自らが荒れ地から出て行ってもらうことで、荒れ地を開墾するやり方を身に付けたのである。
 害虫を殺さずに、害虫自ら荒れ地(訓練においては「大きな部屋」)から出て行ってもらうことができたのは、できれば害虫を殺したくないという「おおくに」の神の優しさが害虫にも伝わったからである。
 以上を見ていた「すさ」の神は、「なかなかやるじゃないか」と感心しながらも次の準備に取りかかった。今度は害虫よりも凶暴な禽獣を集めた大きな部屋に「おおくに」の神を閉じ込めて、害虫の時と同じように、「おおくに」の神を試したのである。
 「おおくに」の神は害虫の時と同じように、難なく凶暴な禽獣と共存する方法を身に付け、禽獣を殺さずに、禽獣自らが荒れ地(訓練においては「大きな部屋」)から出ていくことになった。害虫の時と同じく、禽獣を殺したくないという「おおくに」の神の優しさが禽獣に伝わったからである。
 以上を見ていた「すさ」の神は、「なかなか大したものだ」と感心した。以下省略。